徐々に浸透してきている電子楽譜、気になっている方も多いのではないでしょうか?
私自身、電子楽譜を1年半ほど使用し、周りの演奏家とも情報交換をしてきました。
そこで電子楽譜について、私自身導入前に気になっていた内容や、使ってみて知った電子楽譜の使用感について解説していきます。
- 電子楽譜の導入を迷っている
- 電子楽譜を導入するのに、オススメの機器やアプリを知りたい
- 電子楽譜導入の予算について知りたい
- 電子楽譜の使用感を見てみたい
- 電子楽譜は気になるけど、バックアップが心配
電子楽譜について、私バージェスの考えはこちら!
電子楽譜を検討している方は今すぐ導入すべし
手持ち楽譜が増えるほど、導入が大変になるので、早く導入した方が楽
私個人としては、電子楽譜なしの生活はもう考えられません。
単に楽譜をタブレット端末で読むだけではない、想像していたよりはるかに便利なものでした。
電子楽譜が気になっている方、メリットから導入に向けて揃えるべきもの、使用感など全てを解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。
電子楽譜のメリット・デメリット
電子楽譜のメリットとデメリットを解説していきます。
デメリットはありますが、それでも電子楽譜を導入すべき理由についても解説します。
電子楽譜のメリット
まずは電子楽譜のメリットを解説します。
大量の楽譜が1度に持ち運べる
数百曲分の楽譜は入っていますが、容量的に全く困ることはなく、まだまだ入ります。
1度登録しておけば、急遽必要になった楽譜でも、すぐに取り出すことができます。
楽譜を忘れにくい
家にある大量にある楽譜の中から、必要な楽譜だけを持ち出すのは手間がかかりますが、電子楽譜の場合、タブレット1台持てばOKです。
紙の楽譜の場合、必要な楽譜が全て入っているかを確認する必要がありますが、電子楽譜ではその手間はありません。
楽譜の管理が楽
大量の楽譜が入りますが、検索機能も充実しているため、目的の楽譜が探しやすいです。
登録方法にもよりますが、次のような内容で、検索をかけることができます。
- 曲名・タイトル
- 作曲者(編曲者)
- ジャンル
- 編成
検索だけでなく、電子化することで多くの便利な機能を使うことができます。(便利な機能については後述します。)
紙の楽譜をすぐに取り込める
楽譜を紙で配られた場合、後述するPiascoreとScanableというアプリを使えば、その場でタブレット端末に楽譜を取り込めます。(オフラインでも可)
一度タブレットに取り込んでしまえば、書き込みも自由にできます。
電子楽譜のデメリット
一方で電子楽譜にもデメリットはあります。
初期費用が高い
初期費用は、15万円ほどです…(タブレット代+1~2万円)
もちろんタブレット端末には、電子楽譜以外にも使用用途はあるので、電子楽譜=15万円、と考える必要はないです。
例えば私の場合、多くの音楽関連の電子書籍をタブレットで読めるようにして、レッスンで紹介しています。
譜めくりに技術が必要
多くの楽譜は、見開きでの譜めくり(2ページごとの譜めくり)を想定して作られています。
タブレット端末は、1ページ1画面で使用することが多いので、難しい箇所でも譜めくりが必要な場合があります。
譜めくりは足元に置いたボタンを押すので、どんな箇所でも譜めくりはできますが、「譜めくりの練習」も必要になります。
導入するまで時間がかかる
- 手持ちの楽譜をPDF化する
- PDFを登録して、タイトル等の情報をつける
手持ちの楽譜が多いほど、これら2つの作業には時間がかかります。
電子楽譜を推奨する理由
メリット・デメリットを解説してきましたが、私自身は電子楽譜推奨派です。
電子楽譜は早く導入するほど有利
デメリットにも記載しましたが、紙の楽譜をPDF化やタイトル等の情報をつけるのに時間はかかります。
手持ちの紙の楽譜が、増えれば増えるほど大変さは増す
つまり、早く電子楽譜に早く移行してしまった方が楽
電子楽譜の導入を悩んでいる方は、すぐに導入することをオススメします。
音楽を続けている限り、手持ちの楽譜は増えていく一方です。
電子楽譜は今後どんどん広がっていく
楽譜だけではなく今の時代、どんどんペーパーレス(紙媒体のデータ保存)が進んでいきます。
電子書籍などが良い例です。電子楽譜がどんどん衰退していくという、時代に逆行する事態は考えにくいかと。
例えば「ぷりんと楽譜」のように、電子媒体で楽譜を販売する出版社も少しずつですが、増えてきています。
多くのプロの演奏家が使っている
プロの演奏家が、演奏会本番で、電子楽譜を使うケースも見かけるようになりました。
電子楽譜のメリットの大きさが実証されています。
電子楽譜を導入する
電子楽譜導入に必要な機器やアプリを解説していきます。
必要な端末・機器
必要な端末や機器は数多くありますが、自分や周りの方が実際に使って良かったものを、厳選して紹介をしていきます。
タブレット端末
タブレット端末は、iPad Proの12.9インチ。これ以外の選択肢は、ほぼ考えなくて良いと思います。
12.9インチはA4サイズとほぼ同じなので、楽譜を読むうえで不自由さはありません。
ここで予算をケチって、サイズが小さいものを購入してしまうと、楽譜は読みにくくなり、必ず後悔します。(私の周りでも12.9インチにしなかった人は、全員後悔していました。まさに安物買いの銭失いですね…)
また、電子楽譜専用のタブレットもありますが、個人的には推奨しません。
電子楽譜専用端末は、サービス終了の恐れがあります。一方でiPadのサービスが終了することは考えにくいです。(終了するとしたら、それに代わる新たな大きなサービスができているはずです。)
電子楽譜専用端末である「GVIDO(グイド)」は、2018年頃に発売されましたが、2022年3月に発売中止が決まりました。
それに伴い、2024年3月にはサポート終了とのことです。(やはり電子楽譜専用端末のサービス終了は恐ろしい…)
実際、iPad以外のタブレット端末を使っている人は、私の周りでは見かけません。
電子楽譜を使うだけなら、ハイスペックな機能は必要ないが、12.9インチは必須。しかし12.9インチの安価なモデルは現状ない…
今後登場するかわからない物を待っていても仕方ないので、すぐに導入して、電子楽譜のメリットを享受できた方が良いと思っています。
保護シート
私が考える、タブレット端末の保護シート選びのポイントは次の通りです。
- 強度がある…譜面台から落下する危険性があるため
- 反射防止フィルム(アンチグレア加工)…スポットライトが当たっても楽譜が見やすい
- ブルーライトカット…長時間練習しても眼が疲れにくい
- ペーパーライクフィルム…タッチペンでも書き込みやすい
私自身も使っている、上記の条件を全て満たした保護シートは次の商品です。
ケース
電子楽譜のタブレットのケースを選ぶポイントは、次の通りです。
- 頑丈である…譜面台から落下する危険性があるため
- タッチペンが収納・充電できる…練習で必須であるペンの持ち運びに便利
- ケースをつけたまま写真が撮りやすい…写真をとってPDF化することもある
これらの要素を満たしており、私自身が重宝しているのが次のケースです。
ペンも高価なので、しっかりホールドしてくれるタイプのケースのほうが好きです。
タッチペン・スタイラスペン
楽譜の書き込みに使用するタッチペンは必須です。Apple純正が1番のオススメです。
性能はApple純正には劣りますが、十分使用できるレベルの廉価版も紹介しておきます。
私自身は、こちらのペンを使用していますが、不自由ありません。前述したケースと組み合わせて、充電も楽々♪
フットペダル(譜めくり用)
譜めくりの際、足もとにフットペダルを置き、操作するのが一般的です。
フットペダルの定番&オススメは、こちらの「iRig BlueTurn」です。しっかりと押し込め、安心感があります。
ウインクなどで譜めくりできる機能もありますが、意図せず譜めくりされるような事故もあるので、フットペダルの使用を推奨します。(私の周りも皆、フットペダルを使用しています。)
譜面台
必須ではありませんが、ヤマハの譜面台が1つあると安心です。
紙よりタブレット端末はずっと重いので、譜面台のネジの強度が重要となります。ヤマハの譜面台は、持ち運びの軽さと強度のバランスが丁度いいです。
ヤマハの譜面台は、角度調節部分に凹凸があり、重いタブレット端末を置いても角度が変わりません。
電子楽譜導入にあたり、譜面台は軽視されがちですが、しっかり選ぶと安心感が違います。
アプリ
電子楽譜を使うのにオススメのアプリは「Piascore(ピアスコア)」と「Scannable(スキャナブル)」の2つです。
Piascore(ピアスコア)
PDF化した楽譜ファイルを、加工・編集できるアプリとなります。
楽譜管理の中で最もメジャーなアプリです。ほとんどの機能が無料で使用できます。
https://apps.apple.com/jp/app/piascore-hd/id406141702
- 楽譜情報(作曲者など)の登録・検索
- 楽譜への書き込み・目次の設定
- 楽譜・五線譜のダウンロード
- メトロノーム・チューナーの使用※
※チューナーは有料機能です。(2021年8月現在、610円)
Piascoreは細かな機能まで充実していて、かゆいところに手が届く本当に使い勝手の良いアプリ。(詳細は後述します。)
iLovePDF
タブレット端末で撮った写真を、PDF形式で保存できるアプリです。無料で使用できます。
iLovePDFでPDFにしたデータは、そのままピアスコアに連携できますので、非常に相性が良いです。
(DropboxやGoogleドライブなどに、いったん保存して取りに行く、などの手間はかかりません。)
スキャンを行うのは、自身で購入した楽譜のみにしてください。
楽譜を購入せずスキャンを行うのは、著作権法違反となる恐れがあります。
自炊代行サービス(PDF化代行)
大量の楽譜をPDFにするのは時間がかかりますので、自炊代行サービスを活用するのも手段の1つです。
「自炊」とは、書籍などを裁断・スキャンして、PDFファイルにすること。
自炊代行は、書籍のPDF化を代行してくれるサービスのことです。
自炊代行業者は十数社あり、料金体系などそれぞれ特色がありますので、ご自身に合う業者を調べてみてください。
私の場合、厚手の曲集や音楽書籍を代行業者にお願いしました。
冊子になっているものは、個人ではスキャンしにくいが、代行業者にお願いしたら綺麗な仕上がり。
自炊代行業者は、書籍を裁断・スキャンした後、書籍を破棄します。
そのため、自炊代行業者に楽譜のスキャンを依頼した場合、手元に楽譜は戻りません。
電子楽譜の使用感
Piascoreは様々な機能が充実していることから、楽譜管理アプリの定番で人気も高いです。
作業イメージを動画で解説していきます。
PDFファイルの取込方法
準備した楽譜のPDFファイルを、Piascoreに取り込むことで、様々な機能を使うことができます。
楽譜のPDFファイルを、事前にDropboxに保存しておいてください。
先ほど紹介した Scannable でPDF化した場合、Dropboxに保管しなくても、直接PiascoreにPDFを取り込めます。
無料楽譜のダウンロード
IMSLPとPiascoreが連携しており、著作権が切れた楽譜を、Piascoreのアプリ上でダウンロードすることができます。
IMSLPとは、国際楽譜図書館事業の略語で、著作権の切れた楽譜を無料でダウンロードできるサイトとなります。
詳細はこちらのリンクを参考にしてください→IMSLPについて(外部リンク)
楽譜への書き込み
Piascoreに取り込んだ楽譜は、次のように様々な方法で書き込むことができます。
- タッチ書き込みでの書き込み(色・太さを選べる)
- 音楽記号のスタンプ
- テキスト入力
- 線などの図形入力
楽譜情報の登録
Piascoreに取り込んだ楽譜に、様々な情報を登録できます。登録できる内容は次の通りです。
- 表紙
- タイトル
- 解説
- キーワード
- アーティスト作曲者
- 作詞者
- ジャンル
- 楽器
楽譜の検索方法
登録した楽譜情報から、楽譜を検索することができます。
沢山の曲を登録しても、楽譜情報さえ登録しておけば、すぐに見つけ出すことができます。
ページ設定
PDFファイルのページ順を入れ替えたり、一部のページを複製したりする機能です。
曲の中に繰り返しがある場合に有効です。
また、余白が多い楽譜などは、拡大して登録しておくこともできます。
ブックマーク機能
目次のような機能で、特定のページにブックマークとタイトルを付けて、管理できます。
ブックマークをタップすると、該当ページに飛ぶことができます。
ブックマーク機能を使って、エチュードに練習番号を登録しておくと便利。
セットリスト
楽譜のファイリングのような機能です。本番の曲順に、クリアファイルに楽譜を入れるイメージでしょうか。
例えばある演奏会で10曲演奏する場合、その10曲を曲順に並べることができるような機能です。
事前に設定しておけば、曲間に毎回検索して楽譜を探す、といった手間はなくなります。
メトロノーム・チューナー
Piascoreは、アプリにメトロノーム・チューナー機能がついています。 (チューナーのみ有料機能、2021年8月現在、610円)
新たにメトロノームやチューナーを準備したり、別アプリを立ち上げたりする必要はないので、練習が非常にやりやすいです。
バックアップ
Piascoreはバックアップも充実していますので、全く心配いりません。
「データが消えないか心配、だから紙が良い」と心配される方が多いのではないでしょうか?
過去、Piascoreの公式Twitterアカウントから、以下のような回答が出ています。
まとめ
電子楽譜に関する情報を解説してきました。要点は次の通りです。
- 電子楽譜の導入には時間がかかるので、なるべく早く導入した方が良い
- 単に楽譜をタブレットで読むだけではない、様々な便利機能がある
- 楽譜に書き込んだ内容なども、バックアップが取れる
私自身、電子楽譜を使用してみて、想像していたよりもはるかに使い勝手の良いものでした。
今回の記事を通して、電子楽譜の魅力が伝われば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
サックス初心者が最短で中・上級者になるためのメソッドをこの1冊に詰め込みました。
以下のリンクから冒頭の数ページを無料で読むことができます。(Kindle unlimited会員は全て無料で読めます。)