エチュード・教本

サックス教本・エチュード~ラクールの練習方法と得られる効果

サックスのエチュード(教本)の定番、「ラクール:サクソフォーンのための50の易しく漸新的な練習曲」に特化して解説していきます。

この記事を読んでほしい方
  • 有名なエチュードであるラクールが、どんなエチュードか知りたい。
  • ラクールを使ってどのように練習良いか、ピンとこない
  • ラクールを練習すると何が良くなるのか知りたい

私バージェスの、ラクールのエチュードに対する考えはこちら!

結論

初心者からでもすぐに始めるべき

様々なメロディが演奏出来るようになる

私自身、ラクールは50曲全てを学習しました。また、ラクールに関しては独学でも、レッスンを受けたことも、レッスンをしたこともありますので、深い内容を解説していきます。

ぜひ、最後までお読みください。

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1.ラクール:50の易しく漸新的な練習曲とは

サックス奏者 兼 作曲家であるギィ・ラクール氏が書いた、サックス初心者向けのエチュードです。

第1巻(1〜25番)・第2巻(26〜50番)の2冊からなります。

「ラクール」と言ったら、次のようなキーワードで語られます。

  • 初心者向け
  • メロディ練習
  • 誰もがやっている

初心者向け

ラクールは、「サックス初心者が最初に手にするエチュード」と言えます。

“エチュード“というと、「なんだか難しそう…」と敬遠してしまう人もいますが、その心配はありません。

楽器の音が出て、指を覚えて、簡単な曲にチャレンジできるレベルまで達したら、ラクールを始めることができます。

つまり、吹奏楽部に入りたての1年生でも、合奏に乗れるくらいのレベルがあれば、ラクールにチャレンジできます。

また、ラクールは50曲かけて、緩やかに難易度が上がっていきます。

実際のラクールがどのくらいの難易度か、参考までに以下のデータを載せます。

テンポ8分音符
1曲目♩=72無し
2曲目♩=84無し
3曲目♩=76無し
4曲目♩=96有り
5曲目♩=112無し

メロディ練習

かなり幅広い、基本的なメロディーを、網羅的に学習できます。

ラクールで学ぶメロディ一例
  • 長いスラーのかかったメロディ
  • スタッカートやテヌートを使ったメロディ
  • 3連符を使ったメロディ
  • 3/4拍子・6/8拍子など様々な拍子のメロディ
  • 音の跳躍のあるメロディ

誰もがやっている

ジャズだけを専門でやっているわけでなく、サックスを勉強している人であれば、誰もがラクールを練習してきています。

プロの演奏家であっても例外ではありません。

皆が取り組む効果の高いエチュードで、初心者からでもすぐ取り掛かれるので、まずは始めてみよう。

注意点

「ラクールのエチュード」と言われたら、基本的にはこの「50の易しく漸新的な練習曲」を指します。

しかし、ラクール氏は他にもたくさんのエチュードを出していますので、注意して購入してください。

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2.練習方法と得られる効果

ここからは、ラクールを使った具体的な練習方法と、練習によって得られる効果について解説していきます。

2-1.まずは通しで練習してみる

ある程度まで楽譜が読めたら、次のように練習します。

練習法

1度曲の最初〜最後まで、通しで演奏してみましょう。

途中で間違えてしまっても、止まらず最後まで演奏してみましょう。

どうでしょうか?

数小節だけ取り出して練習すれば、できる箇所であっても、通すと大変に感じませんか?

吹奏楽の合奏だけやっていると、1回メロディを吹いたら、数小節休みがあったり、息が苦しいときはカンニングブレス(※)も使えます。

※ブレスの位置を同じパートを吹いている人とズラすこと

効果

1曲を、1人で吹き切ることができるようになる

2-2.楽譜の指示通り演奏する

ラクールに限らず、どのエチュードでもそうですが、「楽譜の指示通り」に演奏することが大切です。

この「楽譜の指示通り」というのは、シビアに確認するようにしてください。

例えばこのような楽譜です。

※ラクールは著作権があるので、この楽譜はサンプルです。

サックス練習課題

音の下がる箇所がありますが、全体でクレッシェンドになっています。

1番大きい音=1番最後の音

これが楽譜通りの演奏です。

1番大きい音=1番高い音

高い音の方が鳴りやすいので、このような演奏になりがちです。

このように、注意深く自分の演奏を観察してみてください。

エチュードというのは、この例のように、実際の曲よりあえて難しく書かれている箇所があります。

このような難しい例ができるようになると、実際の曲の演奏が楽になります。

効果

実際の曲よりも難しいメロディ練習をすることで、曲を楽に演奏できる。

2-3.スタッカートの曲練習

ラクールを進めていると、鬼門となるのが、10・21・24曲目です。

1曲にわたり全てスタッカートで書かれている曲です。

実際の曲で、ここまでスタッカートが続くのはかなり珍しいです。

つまり逆に言えば、これらの曲が演奏できれば、実際の曲のスタッカートで困ることは激減する、ということです。

練習法
  1. まずは全てスラーで練習する
  2. 普通のタンギングで練習する
  3. スタッカートで練習する

①〜③、全ての練習プロセスで、「歌う」ことを忘れないでください。

スタッカートは、舌でリードの振動を止めている時間が長いだけです。

③では、②よりも「舌がリードに触れている時間を、少し長くするだけ」という意識を持ちましょう。

スタッカートの演奏法は、こちらの記事でも解説していますので、ぜひお読みください。

>サックスのタンギングのトレーニング・基礎練習方法(初心者~中級者向け)

基礎練習のスタッカートでは、「メロディを歌う」という感覚が養えません。

しかし、ラクールを使えば、曲の中でのスタッカートが練習できます。

効果

曲で出てくるスタッカートに抵抗がなくなる

メロディの中でスタッカートを使えるようになる

2-4.メトロノームを使わない練習

まずはメトロノームをかけて練習しますが、メトロノーム無しでの練習もしてみましょう。

練習法

メトロノームを無しで練習します。

そのとき録音をしながら、演奏をします。

録音を聴いてみて、頭拍で手拍子をしてみましょう。

実際に聴いてみて、テンポ通りに演奏できていましたか?

メトロノームがなくても、テンポを維持できるスキルを「テンポキープ」と言います。

吹奏楽で指揮者のテンポにだけ合わせて練習していると、なかなかこの力は身につきません。

効果

テンポキープができるようになる

バージェス

テンポキープは、簡単そうに見えるけど、実は高度なテクニック。

「テンポキープの練習」をしないとできるようにならない。

2-5.次の曲に進むタイミング

独学でラクールをやっていて難しいのが、次の曲に進むタイミングです。

今取り組んでいる曲が、完璧にできるまで次の曲に進まない

全然出来ていないのに、先に進むのは当然良くないですが、このような例も良くないです。

前述したとおり、ラクールは50曲かけて、緩やかに難易度が上がっていきます。

今やっている曲と、次の曲で学ぶべき課題は、全く同じではありませんが、重なっている部分も多いということです。

自分の演奏に納得のいく人はいません。

ですので今、自分ができる演奏に仕上げたのであれば、積極的に先の曲に進みましょう。

バージェス

私がラクールをレッスンしている時は、その曲で学ぶべきテーマがクリアできていたら、積極的に次の番号に進んでもらっている。

テーマは明記されていないので、楽譜から読み取るしかなく、独学だとそれも難しいのだが…

困るのであれば、私はレッスンを受けることをオススメしたい。

前の番号の曲に戻る

「先に積極的に進んで良い」と解説したのは、ラクールは前の番号に戻って練習をすることも大切だからです。

例えば、「ラクールを始めた当初はビブラートができなかったが、今はできるようになった」という場合は、ビブラート有りで1曲目から練習していくべきです。

「先の曲に進む」だけであって、「前の曲に戻れない」わけではありません。

世界トップクラスのサックス奏者、須川展也さんは、今でもラクールの1番で音色・レガート・ビブラートなどの確認を行なっている、と伺ったことがあります。

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ラクールの曲目解説

ラクールのそれぞれの曲についての解説は、こちらを参考にしてください。

ここに掲載されていない番号であっても、全曲レッスン可能ですので、お気軽にお問合せください。

第1曲目 Andantino

第2曲目 Moderato

第3曲目 Andantino

第4曲目 Moderato

第5曲目 Allegretto


ラクールの練習の仕方とその効果について、解説しました。

私も独学でラクールを練習していたときは、どう練習するか、いつ次の曲に進むかなど悩んでいました。昔の私と同じような経験をされている方の助けに、少しでもなれば嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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