「楽器がより上手くなるために、楽典や音楽理論を勉強したい」という方は多いですが、どこから始めたら良いのか悩まれますよね。
そこで初めて楽典や音楽理論を勉強される方向けに、おすすめの書籍と勉強の仕方を解説します。
「楽器上達のため」という部分に注目して、内容を絞って解説していきます。
- 楽器の上達のために、楽典や音楽理論の勉強を始めたいけど、何から手をつけていいかわからない。
- 楽典や音楽理論を勉強するのに、使うべき教材が知りたい。
- 楽典を勉強するのに「楽典 理論と実習」という本が良いと聞いたけど、使い方がわからない。
私バージェスがおすすめする、楽器上達のために最初に必要な教材はこちらです。
本書を選んだ理由・使い方は、次の通りです。
吹奏楽に限らず、音楽を本格的に勉強する人は必ず読む本
本格的な音楽理論を勉強するための用語を知るための本
本書をおすすめするだけの記事は多いですが、今回の解説では、本書を使った勉強方法にまで踏み込んで解説していきます。
楽典の知識や音楽理論に裏付けされた演奏は、流暢な英語を話すのと同じです。
楽典の知識や音楽理論がない演奏は、下手な英語のような、ぎこちなさを感じます。
私自身も本書から勉強を始めて、何冊も本を読んできました。この本を読んだ先につながる勉強法にも触れていきますので、ぜひ最後までお読みください。
1.本書の誤解と注意点
昔の私も誤解をしていましたので、最初に重要な事実をお伝えします。
本書には、演奏が上達するような情報は、ほとんどありません。
それでも本書をおすすめするのは、次の理由です。
楽器演奏の上達につながる良書は多くある。
しかし、本書に書かれている用語が理解できないと、それらの良書を読むことができない。
まずは音楽理論を、体系的に理解していくための本ということを理解してください。
英単語や文法を覚えないと、英語の文章が読めないのと同じです。
ですので、残念ながら読んでいて楽しいものではないと、私は感じました…
しかし、本書の内容が理解できると、演奏の上達に役立つ、様々な音楽理論の本が読めるようになります。
「本書を読めば上達する」ではなく、「本書は上達するための本を読むための基礎知識」となります。ここを理解しないで、楽典を勉強し始めると挫折しやすい。
「楽典は定番の本を1冊読んで勉強したけど、特に役に立たなかった」となりがち。
2.本書を選んだ理由
本書と同じ様式の本もありますが、やはり本書は実績が違います。
- 1965年から発行されて、今も楽典の中の定番、という歴史がある
- 本格的に音楽を勉強している人の大多数が使ってきた。(「黄色の楽典」と言えば大体の人に通じます。)
- レッスンを受ける先生も使っていることが多いので、質問しやすい。
吹奏楽に特化した楽典もありますが、まずはど定番である本書を読んでみることをおすすめします。
(「吹奏楽に特化したものは良くない」「読むべきではない」というわけではありません。楽典を複数冊読むことも良いことです。)
3.本書の学習方法
3-1.学習にあたっての前提
冒頭で解説した通り、「楽器上達」に特化した本書の使い方を解説します。
本書を読む目的は、「楽器上達につながる他の良書を読むために、必要な知識を得る」ことです。
本書に書かれた内容は、最終的に覚えることが望ましいです。
しかし、受験勉強で使うわけではないので、覚えきるまでずっと勉強し続ける必要はありません。
他の本を読んで、本書で学んだ用語だけど内容を忘れていたら、本書に戻って思い出せば十分です。
これを繰り返せば、記憶は定着していくので、どんどん本書の内容が覚えられます。
楽器上達につながる他の良書を読むために、必要な知識を得る
まずは本書の内容を理解して、他の本を読んで不明点があったとき、すぐに本書に戻れるようにしておく
3-2.読むべきポイント
読むべきポイントは、「楽器上達につながる良書」で頻繁に出てくる内容です。
「楽器上達につながる良書」を読む目的で使うのであれば、これから記載する以外の内容は、流し読みで問題ありません。
3-2①.強起と弱起・完全小節と不完全小節
小節の数え方がポイントです。
音楽理論の本では、様々な楽譜が引用されています。
引用された楽譜の小節ごとに説明されることも多いです、その際に小節を数え間違えてしまうと、間違った理解をする恐れがあります。
次の2つの譜例は、出る音は同じです。
しかし、最後の小節は、上が3小節目、下が2小節目となります。
これは下の楽譜の最初が、4/4拍子なのに1拍しかなく小節として完結していない(不完全小節)となります。
不完全小節は、1小節としてカウントしません。
3-2②.拍子の種類
それぞれの拍子での、強拍の位置は理解しておきましょう。
強拍の位置は当然理解しているものとして、解説していない音楽書は多いです。
3-2③.音程
全般的に理解が必要です。ポイントは以下のとおりです。
- 度数の数え方
- 完全系・長短系
- 複音程
- 転回
- 協和音程・不協和音程
3-2④.音階
ポイントは以下のとおりです。
- 長音階・短音階
- 主音・属音・下属音
- 自然短音階・和声短音階・旋律短音階
- 長調・短調
- 同主調・平行調・属調・下属調
- 近親調・遠隔調
- 移調・転調
- (教会旋法)
- (全音音階)
重要ではありますが、実際の演奏で登場頻度がそれほど高くないものは()としました。
3-2⑤.和音
全般的に理解が必要です。ポイントは以下のとおりです。
- 三和音と七の和音
- 長三和音・短三和音・減三和音・増三和音
- 基本形・転回形
- 主和音・下属和音・属和音
- 属七の和音・減七の和音
- トニック・サブドミナント・ドミナント
- 主要三和音・副三和音
3-2⑥.奏法を指示する用語・記号
音楽書を読むという目的より、トリルやターンの演奏方法が非常によくまとまっているので、実際の演奏で重宝しています。
トリルやターンをはじめとする音楽記号については、こちらの記事にまとめています。
>【実践】音楽用語の意味と具体的な表現方法~サックス・楽器演奏
3-3.読みにくい箇所
3-3①.調の判定
本書を通じて、異様なまでに難易度の高い部分がここです。
そもそも何の調で演奏しているのかは、細かい理論よりも感覚で覚えていくべきです。
プロの作曲家の方も、この箇所は特に重要視していないとのことでした。
3-3②.速さ・強さ・曲想の表示法
わからない表示法があった場合、別で音楽用語辞典を準備した方が、アルファベット順で検索できて、便利です。
【スマホだけあればOK】あなたの演奏のお悩み、すぐに解決しませんか?
スマホを持って、演奏できる環境に行くだけで受講できる、オンラインレッスンを受け付けています。普段の練習と同じ場所・同じ持ち物でお気軽に体験できます。しかも今なら、初回無料でレッスンを受講できます。
レッスン内容に自信がありますので、無料レッスンを受けた後、有料プランへの勧誘は行いません。お気軽にお申し込み・お問合せください。
サックスは上達すればするほど、より楽しめるようになります。レッスンではあなたのお悩みに合わせた、個別の課題解決プログラムをご提案します。
吹奏楽CDレコーディング30枚以上の演奏実績と、ホームページ月間約20,000PVの指導実績がある私、バージェスにお任せください。
まとめ
楽典・音楽理論の学習の導入に使える「楽典 理論と実習」について解説させていただきました。
- 本書は、音楽専門書を読むための基礎知識を学べるもの(本書を読めば、上達するわけではない)
- 内容を覚えるのがベストだが、他の音楽書を読んで、不明点があったら本書に戻ればOK
音楽理論の学習は、成果が出るまで時間がかかり、根気強くやっていく必要があります。
今回の解説を読んでいただき、音楽理論習得の手助けになれれば嬉しいです。
【番外編】楽器上達につながる良書
参考までに、私が実際に読んだ中でも特に良かった、楽器上達につながる良書を一覧でご紹介します。
機会があれば、今回のように解説していきます。
(音楽用語編)
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
サックス初心者が最短で中・上級者になるためのメソッドをこの1冊に詰め込みました。
以下のリンクから冒頭の数ページを無料で読むことができます。(Kindle unlimited会員は全て無料で読めます。)