セルマーのマウスピース、「S80」「S90」「コンセプト」について、それぞれの特徴を解説していきます。
私自身、ソプラノ・アルト・テナー・バリトン、4種類全てセルマーのマウスピースを長く愛用しています。
- セルマーのマウスピースのモデルごとの特徴が知りたい。
- どのマウスピースを選べば良いか、ヒントが欲しい。
- 吹奏楽でオススメのマウスピースの特徴を知りたい。
私自身、楽器を始めた頃からずっと、セルマーのマウスピースを使用しています。
単に試奏したわけでなく、どのモデルも実際に使ってきた結果を紹介していきます。
また、吹奏楽で使うマウスピースとしても、1番オススメのモデルとなります。ぜひ最後までお読みください。
1.各モデルの特徴
セルマーのマウスピースの代表格である「S80」「S90」「コンセプト」のそれぞれの特徴を解説していきます。
1-1.S80(ワンスター)
- 明るい音色
- 入れた息がそのまま音になる印象で、反応が速い
明るく・軽やかな響きに特徴があります。
S90やコンセプトには、響きを足してくれるような印象がありますが、S80にはそれがありません。
良くも悪くも、シンプルなマウスピースと言えます。
定番の開き
C⭐︎(ワンスター)と呼ばれる開きが一般的です。
評判
S90まではいきませんが、広く愛用されているマウスピースです。
音が明る過ぎる・軽すぎると言って、使っていない方も多いです。
1番音は出しやすいので、楽器を始めて1本目のマウスピースにするのも、良い選択です。
明るい音色・反応の速さを重視するなら、S80
1-2.S90(170・180)
- やや暗めの落ち着いた音色
- マウスピース自身が、音の厚みを足してくれるイメージ
S80との1番の違いは、音色です。
S90では、暗めで落ち着いた音色になります。
もともとサックス自体が、明るく・華やかな音がする楽器なので、マウスピースは、このくらいの音色を好む方も多いです。
また、マウスピースが響きを足して、包み込んでくれるようなイメージもあります。
定番の開き
170・180という開きが一般的です。
特徴 | 一般的に使うリード | |
170 | 軽く、操作しやすい | 硬めのリード |
180 | 抵抗感強く、しっかり鳴らせる | 柔らかめのリード |
柔らかいリード・硬いリードというのは、一般的に以下の通りです。
柔らかい | 硬い | |
バンドレン トラディショナル | 〜3 | 3 1/2〜 |
バンドレン V12 | 〜2 1/2 | 3〜 |
ダダリオ レゼルブ | 〜3 | 3+〜 |
170に柔らかめのリードをつけて、操作性を重視する方、180に硬めのリードをつけて、分厚い音色を好む方もいます。
評判
「最も人気の高いモデル」です。
バランスも良く、様々な音色も使え、自由度が高いです。
最終的にどのマウスピースを選ぶかは、個人の好みによる。
しかし「S90が合わない・好きでない」という声は、他のマウスピースと比べ、あまり聞いたことがない。
迷ったらS90から選んで、間違いなし
1-3.コンセプト
- S90に近い暗め+柔らかい音色
- 低音域のコントロールが抜群にやりやすい
「S90の音の特徴を、更に強化したマウスピース」という印象です。
S90よりも更に暗く・柔らかい音色、
また、低音域が他2つのマウスピースと比較して、圧倒的に出しやすいです。
これは、ラウンドチェンバーという、マウスピースの内部の特徴によります。
- ラウンドチェンバー(コンセプト)…マウスピース内部が円形
- スクエアチェンバー(S80・S90)…マウスピース内部が四角形
評判
コンセプトの評判は、真っ二つに分かれます。
- コンセプト好きで、これ以外は考えられない
- コンセプトはあり得ない、絶対無理
コンセプトは、マウスピース自体、制御する力が強いです。
柔らかい、クラシカルな響きを出してくれる一方で、こもった音にもなりやすいです。
コンセプトらしい、暗めの柔らかい音色は大の得意ですが、それ以外の音の自由度は他2つのマウスピースには劣ります。
悪く言えば、「誰が吹いても同じような音になるよね」と言われます。
特にポップス演奏する奏者には、好まれない傾向があります。
コンセプトの音の特徴が、好きになれるなら選ぶべき
若干癖はあるものの、慣れれば1番コントロールしやすいマウスピース
要注意!テナーサックスのコンセプト
ソプラノ・アルトのコンセプトに比べ、テナーサックスのコンセプトは、かなり開きの広い設計となっています。
鳴りはしますが、抵抗感がかなり強く、重たい吹奏感です。
リード自体をかなり軽くしないと、人によっては対応が難しい可能性があります。
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2.注意点
セルマーのマウスピースを使うにあたり、いくつか注意点があります。
2-1.同じモデルの中から必ず選定すること
残念ながら、セルマーのマウスピースには品質のバラツキが多いので、必ず選定してください。
選ぶときに陥りがちな盲点として、「全てのマウスピースで良い音を出そうとしてしまう」というものがあります。
それぞれのマウスピースで、良い音を出そうとして、吹き方を変えてはいけない。
普段の吹き方で、吹きやすいマウスピースかどうかを判断する。
私たち演奏者が、マウスピースという道具に合わせる必要はない。
演奏者に合う、道具を探すことが重要!
2-2.バリトンサックスのマウスピース
バリトンサックスの場合、他のサックスよりも広めのマウスピースを選ぶのが、一般的です。
バリトンは、息をたくさん必要とするため、開きの狭いマウスピースだと息の量に耐えられません。
一般的には、次の開きが好まれます。
S80 | D・E |
S90 | 190・200 |
最終的には、マウスピースの開きも演奏者の好みです。
しかし、プロの演奏家も含め、バリトンサックスは広めのマウスピースが好まれている事実は知っておいてください。
バリトンサックス用のコンセプトは、発売されていません。
※本記事掲載(2021.2.6)現在
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3.吹奏楽部員の方に向けて
吹奏楽部の生徒さんから、よく受ける質問に回答します。
この3つのモデルだと、吹奏楽をやるには何がオススメですか?
どれでもOK!
この3種類のマウスピースなら、どのジャンルでも基本対応できる。
パートでマウスピースは揃える必要ありますか?
ない!
マウスピースに限らず、楽器やリードも個々人が好きなモデルを選んでください。
(番外編1)バージェスのセッティング
私自身が使用している、セルマーマウスピースについて、選んだ理由をそれぞれ解説します。
悩んでいる方の参考になれば、嬉しいです。
ちなみにリードは、レジェールシグネチャー3を使用している。
ソプラノ・アルト・テナー・バリトン全てで同じリード。
ソプラノサックス・アルトサックス
コンセプトを使用しています。
コンセプト特有の音色が、自分の好みにマッチしました。
また、低音が鳴らしにくいソプラノ・アルトだからこそ、低音の出しやすいコンセプトは重宝してます。
テナーサックス
S80 C⭐︎(ワンスター)を使用しています。
正直なところ、S90 180の音色・重さが好みなのですが、反応の良い個体に巡り会えていません。
反応の速さ・操作性を重視して、今はワンスターです。
自分に合ったS90 180を探してさまよっています…苦笑
バリトンサックス
S80 Eを使用しています。
バリトンのような低音楽器は、遅くなりがちなので、反応の速さを第一に考えました。
また、バリトン自体に響きが多いので、マウスピースが足してくれる響きを必要としませんでした。
(番外編2)セルマー クラシックメタル
もう販売停止になってしまいましたが、個人的にはすごく好きなマウスピースです。
音色・使用用途
サックスの神様、マルセル=ミュール氏が愛用していたことで、有名です。
今のサックスの音色と比べたら、かなり独特な音色です。
古い録音にあるような音色で、わざと深いビブラートをかけると、より味わいを感じます。
「クラシック」と言いながらも、吹奏楽やアンサンブルでは使えないです。
しかし、ピアノと一緒にソロを演奏するには、抜群に良いです。
入手方法について
中古マウスピースを取り扱う楽器店か、ネットオークションで探すしかありません。
しかし現行のような、品質のバラツキは少ないように感じます。
(当時は、職人さんのハンドメイドだったとも聞いていますので、その影響かと思います。)
私自身、選定をせずに(そもそも選べるほど数がない)購入しましたが、どれもコントロールに難はなく、普通に使える代物でした。
リガチャーもメタルマウスピース専用になるので、ご注意ください。
クラシックメタルを使用した演奏
クラシックメタルを使用した演奏を公開しています。ぜひ独特な世界観をお楽しみください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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