サックス奏法

サックスのビブラートの速さ〜上手く表現できない場合の確認項目

「ビブラートはかけられるけど、音楽がうまく表現できない」

このように悩んでいる方、ある1つの問題があります。

この記事を読んでほしい方
  • ビブラートはできるけど、うまく表現できない・ぎこちない。
  • ビブラートはできても、色々な種類のビブラートがかからない。(ビブラートが1種類しかない)

私バージェスが考える、ぎこちないビブラートからの脱却方法はこちら!

結論

曲のテンポで、ビブラートをかけない

(ビブラートと曲のテンポは連動しない)

今回の内容は、多くの奏者がビブラートをかけるときに、やってしまいがちな問題に特化して解説していきます。

サックスのビブラートに関する全般的な内容は、こちらの記事で解説しています。

>サックスのビブラート~かけ方の基礎・上級テク・練習の盲点まで完全解説

音楽的なビブラートにならないという方、ぜひ最後までお読みください。

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1.ビブラート練習の盲点

次のような一般的に紹介されているビブラートの基礎練習には、盲点があります。

ビブラートの基礎練習
  • 次のリズムで、ビブラートをかけます
  • メトロノームを鳴らし、♩=80くらいまで練習します(標準的なテンポは、♩=72です。)
  • 一定の波の大きさになるよう、注意して練習します
ビブラート基礎練習
ビブラート基礎練習の盲点

ビブラート練習は、メトロノームのテンポ通り、波の数を決めて練習すること

この練習方法自体に、問題はありません。

波の速さをコントロールすることは、美しいビブラートには必須です。

しかし、「曲の練習」「ビブラートの練習」それぞれでメトロノームを使うことから、誤解が生じます。

  • 曲の練習→メトロノーム必要
  • ビブラートの基礎練習→メトロノーム必要
重要

曲でビブラートを使う場合、ビブラートを曲のテンポに合わせない

つまり、メトロノームを使った曲練習は、このように考えます。

ビブラートの波が、1拍の中に必ず3つ or 4つしか入らない

これが「ビブラートと曲のテンポが同じになってしまっている」状態です。

メロディを聴けば、テンポはわかります。曲を聴きながら手拍子するのは、音楽を勉強してない方でもできるのが、その証拠です。

しかし、ビブラートまで同じテンポにしてしまうと、押し付けがましく・機械的に聴こえてしまいます。

メトロノームを使ったビブラート練習は、波の速さをコントロールするために必要

実際の曲では、曲のテンポとビブラートの速さを一致させない

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2.ビブラートの速さとテンポの関係

ビブラートと曲のテンポの関係について、実際の例を交えながら解説していきます。

2-1.ビブラートの速さ=曲のテンポの実例

まずビブラートのテンポが、曲のテンポと同じになってしまった例を聴いてみましょう。

実例

曲は、サン=サーンス作曲の組曲「動物の謝肉祭」から白鳥です。

使用した楽譜は、次の通りです。(ソプラノサックスで演奏していますので、B♭譜です。)

サン=サーンス:白鳥 抜粋
演奏条件
  • 2分音符より長い音符にビブラート
  • ビブラートは、1拍に4つ

2-2.ビブラートの速さと曲のテンポを連動させない例

同じ曲を、ビブラートの速さが曲のテンポにならないように演奏した例です。

先程の演奏と比較してみてください。

↑楽譜はこちらからダウンロードできます。

比較すると、ビブラートと曲のテンポが合ってしまう例は、ぎこちなく・機械的に聴こえてしまうのが分かります。

ビブラートを曲のテンポに合わせないことで、ビブラートが自然に聴こえるようになります。

弦楽器は管楽器と比較し、ビブラートを多用する傾向があり、この曲では次の演奏が一般的です。

  • 管楽器=4分音符にビブラートかけない
  • 弦楽器=4分音符にビブラートかける

紹介しました私の演奏は、弦楽器をイメージして、4分音符にもビブラートをかけて演奏しています。

今回のテーマからは少し外れますが、比較して、参考にしてみてください。

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3.曲のテンポとビブラートの両立

前述してきた通り、曲のテンポとビブラートの速さを一致させてはいけません。

3-1.曲のテンポはビブラートの速さより優先

最優先すべきは、曲のテンポキープです。ビブラートの波の数が、拍の中に3つ or 4つにならないよう意識しすぎると、曲のテンポが乱れてしまいがちです

テンポ感がない曲は、かなり不自然になりますし、他のパートと合わせることが非常に難しくなるためです。

ビブラート波の数を、曲のテンポに合わせないようにした結果、テンポキープができなくなる。

「曲のテンポとビブラートを連動させない」という技術を確実に習得でするまでは、本番や合奏など人と合わせる機会では、ビブラートの波の数をコントロールすることはやめましょう。

3-2.対処方法

ここから脱却する方法としては、ビブラートを無意識で行える状態に持っていく必要があります。

ビブラートなしで、曲を演奏する場合であっても、「音を伸ばす」という行為は、カウントしながら無意識で行えています。

それと同じレベルで、ビブラートをかけた音を自然に使えるよう、反復練習する必要があります。

ただし、無意識と言っても、何も考えずにビブラートをかければ良いわけではありません。

ビブラートの波の速さや大きさなどは、あらかじめ決めておいた上で、テンポと連動しないように設計します。

重要なのは、①でビブラートを考える際、拍の中にいくつ波を入れるかではなく、あくまで曲の雰囲気だけから考えるということです。

慣れてくれば、①→④の手順で確認できるようになります。録音だけして、「テンポキープができていること」、「ビブラートがテンポと合っていないこと」だけを、定期的に確認する程度でOKです。

「テンポキープをする」「ビブラートをかける」という脳の回路が、複数に分かれるイメージがあります。

テンポキープとビブラートを同じ回路で処理してしまうと、次のどちらかにおちいります。

  1. テンポキープしようとすると、ビブラートが3つ or 4つしか入らない
  2. ビブラートの数を3つ or 4つ以外にしようとすると、テンポキープできなくなる
バージェス

簡単に思えるかもしれないが、頭の中で数えているテンポと、ビブラートを合わせないというのは、実はかなり難しい。

私自身も相当苦労しました。

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まとめ

今回のテーマをまとめると、次の通りです。

今回の要点
  • 曲のテンポとビブラートの数は連動させない
  • テンポキープが最優先
  • 「曲のテンポとビブラートを連動させない」という技術は、難易度が高いので根気強く練習する

皆様のビブラートを使った表現力向上のヒントになれば、嬉しいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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