- 大きな本番で、なかなか成果が上がらない
- 本番の準備の方法について、深く考えたことがなく、どうすればよいか分からない
実は、本番への臨み方は、ある程度「型」のようなものが存在します。
やみくもに練習しているだけでは、成果は上がりません。
これから紹介する方法を実践して、私自身、国際コンクールでの入賞を果たしました。
この記事では、特にソロコンなどの大きな本番に向けての、曲の練習方法・メンタルの保ち方を解説します。私自身、様々な本番でトライ&エラーを繰り返し、多くの文献を読んでたどり着いた内容です。
どんな本番であっても使える内容ですが、大きな本番を想定しているため、かなりハードなものも多いです。
この記事を読むと、あなたがこれから臨む、大きな本番の成功確率が上がります。
1.練習方法
大きな本番で演奏する際、私自身が実践してきた練習方法を紹介します。
1-1.曲の設計図を作る
コンクールだけに限らず、曲を演奏する上で1番大事な工程です。曲をどのように演奏・表現するかを設計します。
例えば、f(フォルテ)1つをとっても、次のように考えることは多くあります。
- 他のダイナミクスと比較して、どの程度の音量で演奏すべきか
- 発音はどのようにするべきか
- どんな音色を使うか
- ビブラートをかけるか、かけるなら波の速さや大きさはどうするか
ここで音楽的な設計図が書けていないと、これ以降で解説する練習法に取り組んでも、残念ながら、賞はついてきにくい。
良い設計図を書くには、音楽的な知識が不可欠です。
曲の設計図を書くお手伝いをします。
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なお、曲の理解が進むにつれ、新たなアイディアが生まれることがあります。その場合、設計図を書き変えても良いです。
1-2.階名で読む
難しい曲であっても、1つ1つの音を正確に読むことは重要です。
具体的には、次のプロセスを確実に行います。
- 譜面に書かれた音符を、1つ1つ階名(ドレミ)で読む
- 読んだ階名の通りの、指づかいにする
練習を重ねると、指の動きで記憶してしまい、①の楽譜を読むプロセスをおろそかにしがち
「指の動きの記憶」だけでは、ミスをしやすくなります。
緊張をして、指の記憶が飛んでしまった際に、楽譜を見ることになりますが、上手くいかないケースが多いです。
指で覚えてしまうと、楽譜を見なくても演奏できてしまうことから、練習時に楽譜を読む習慣がなくなってしまったことが原因です。
一方で楽譜を読みながら演奏しても、指は覚えているので、本番で楽譜を読み飛ばしても、指が勝手に動くことはあります。
「楽譜を読む→指づかいを作る」という順番を徹底する
譜面を読むための練習(歌・演奏せずに頭で階名を歌う、など)も取り入れ、ゆっくりから譜読みする
1-3.難しい箇所は10回連続成功を目指す
難しい箇所は、10回連続で成功するまでやめない、という練習がオススメです。
10回「連続」なので、間違えた場合、1回目からやり直しです…
この練習法の特に大きなメリットは、次の2つです。
- 10回連続で成功できる箇所は、普通にやれば演奏できる箇所なので、リラックスして臨める
- 8回目以降など、終盤になるほど、緊張感が増した中での演奏が体験できる
自分は大きな本番の場合、曲の連符箇所を全てで、この練習をしました。
身体に痛みを感じたら、すぐに練習を中止すること
難しい箇所というのは、複雑な指づかいであることが多く、身体に力が入ってしまいがちです。
力が入った状態で演奏を続けてしまうと、身体に痛みや変な疲労感が出ることがあります。
最悪の場合、ジストニア(※)になってしまう危険性もあります。
※ジストニア
楽器演奏で使う、特定の筋肉の動きができなくなってしまう症状。日常生活で不便はなくとも、楽器だけが演奏できなくなる方も多くいます。
1-4.譜面台を下げ、離れて演奏する
譜面台は下げて演奏するようにしましょう。高さは腰のあたりを目安にすると良いです。
また、少し譜面台から離れて演奏しましょう。
次の動画を参考にしてみてください。
譜面台を下げ、離れて演奏するメリットは、2つあります。
- ベルの先と客席の間に障害物がなくなる
- 譜面を見ながら演奏する印象がなくなる(余裕が見える)
ただし、注意点も2点あるので、気をつけてください。
- 譜面台を下げただけで、離れずに演奏してしまうと屈んでしまい、姿勢が悪くなる
- 譜面から離れて演奏する必要があるので、ある程度の暗譜は必要になる
コンクールであれば、演奏時間が短いため、見た目の印象でもアピールできると良いです。
時間をかけなくても良いので、曲をある程度まで覚えることができたら、譜面台の取り扱いも意識してみてください。
本番近くになって、急遽に譜面台の位置を変えると、違和感があるので、普段の練習から取り入れてください。
いざ譜面台を下げてみると、かなり譜面が遠くなり不安を感じます。
そうであっても姿勢が悪くなると本末転倒なので、注意してください。
1-5.本番1週間前には完成させる
本番1週間前までに、曲の設計図通りの演奏を、高い確率で出来るようにすることを目標にしてください。
この目標を達成するために、本番1週間前までは、ハードな練習を課すべきです。(ただし故障には注意してください)
目標が達成できなかったとしても、実際にはまだ1週間あるので、気持ちに余裕が持てます。
最後の1週間は、身体を休め、心を高ぶらせることを優先しましょう。楽器を吹く量を減らせば、「演奏したい」と、自然と気持ちは高ぶります。
「1週間前にできないことは、本番でもできない」この位に考えるのが丁度いいです。
「楽器は一朝一夕で上手くならない、継続して上手くなるもの」
頭で分かっていても、本番直前の練習で詰め込もうとするのは、一朝一夕で上手くなろうとするのと同じです。
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2.メンタル
大きな本番で意識すべき、メンタルの持ち方を解説します。
練習方法の解説と同様、どの本番でも使える内容となっています。
2-1.練習通りの演奏をすることだけ考える
特にコンクールの場合、自分が作った曲の設計図の通りに演奏することを心がけます。
(ちなみにコンサートの場合は、お客さんのテンションに合わせて、演奏を変化させるのもアリです。)
「練習でできた演奏」を本番のステージで再現するだけです。「できないことをやれ」と言っているわけではありません。
練習で「できたこと」をステージという場で行うだけ、と考える。
2-2.周りは意識しない
コンクールでは特に、他の団体の演奏を聴く機会が多いですが、雑念を持たずに、先ほど解説した練習通りの演奏をすることだけに集中してください。
「周りが自分より上手い」と感じた時に生じるデメリット
「今まで練習してきた演奏ではダメだ」と不安を感じてしまいます。
本番当日に、演奏を変えることは基本的にはできません。
演奏を変えてしまうと、今まで問題なくできていた箇所さえも上手くいかなくなる可能性があります。
「周りが自分より上手くない」と感じた時に生じるデメリット
これは慢心を生んでしまいます。
変な自信を持って、普段よりも過度にダイナミクスを表現したり、速いテンポで演奏したりしてしまい、練習どおりの演奏とならないことがあります。
また、緊張感が緩んでしまう、という懸念があります。
緊張には体を硬直させる、などの悪い側面はありますが、集中力を高めるという良い点もあります。
昔の自分も、自分より周りが上手くないと感じ、演奏を失敗してしまった苦い経験があります。
その失敗が、今は活きて、周囲の演奏が気にならなくなりました。
周りがどんな演奏をしようと、練習してきた以上の演奏はできない。
であれば、余計なことを考えないために、自分の演奏が終わるまでは、なるべく周りの演奏を聴かない。
2-3.絶対に最後まで油断しない
本番途中に「終わった」と考えないことが大切です。「終わった」と考えてしまうだけで、脳の働きがストップしてしまいます。
本番の演奏中に「終わった」なんて、考えるわけないでしょ〜
例えば、曲の中盤にある、自分が1番苦手な箇所を越えたら、「難しい部分が“終わった“」とは思わない?
本番では、曲の終わり間際や、普段は上手く演奏できる箇所で、間違えてしまった経験はありませんか?
原因は脳の仕組みによるものかもしれません。普段の練習から、油断しないよう徹底しましょう。
舞台を降りるまでは、終わりではない。決して油断しない。
【番外編】メンタルを鍛えるためのオススメ書籍
私が読んだ、メンタルを鍛えるオススメの書籍を紹介します。内容も記事にまとめていますので、参考にしてください。
>吹奏楽奏者に贈る本番の緊張対策5+3選~「本番に強くなる~演奏者の必勝メンタルトレーニング」
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まとめ
私自身が実践している、様々な本番でトライ&エラーを繰り返し、多くの文献を読んでたどり着いた、本番への準備方法・メンタルの保ち方を解説しました。
- 曲の設計図を作る
- 階名で読む
- 難しい箇所は10回連続成功を目指す
- 譜面台を下げ、離れて演奏する
- 本番1週間前には完成させる
- 練習通りの演奏をすることだけ考える
- 周りは意識しない
- 絶対に最後まで油断しない
向き不向きもあると思いますので、今回の内容を参考にしながら、あなた独自の本番への臨み方を作っていってください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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