合奏やアンサンブルでの低音楽器の役割、演奏の効果は大きいです。
低音楽器の演奏次第で、演奏全体の質が劇的に変わります。
バリトンサックスで、吹奏楽CDを十数枚レコーディングしてきた私バージェスが、効果的な低音楽器の演奏方法・コツを解説していきます。
- バリトンサックス・低音楽器奏者
- 吹奏楽で指揮をやられている方・アンサンブルを仕切る立場の方
私バージェスが考える、バリトンサックス・低音楽器の演奏で、注意すべき点はこちら!
どのパートよりも速く音を立ち上げる
音程を低めにとる
低音楽器の楽譜は一見、他のパートよりもかなり簡単に書かれているように見えることも多いです。
その簡単に見える楽譜を、ただ演奏しているだけでは、良い演奏にはなりません。
バリトンサックス・低音楽器を担当したときに意識すべき、特有の考え方を解説していきますので、ぜひ最後までお読みください。
1.バリトンサックス・低音楽器はどのパートよりも速く音を出す
バリトンサックス・低音楽器を担当する上で、1番大切にしたいことは、「どのパートよりも速く音を立ち上げる」ことです。
1-1.速く音を立ち上げるためのイメージ
速く立ち上がるときのイメージは、短距離走のスタートに近いです。
スタートの合図は、どのランナーにとっても同じです。
しかし、合図に反応して、スタートを切る速さはランナーによって違います。
私たちが演奏やアンサンブルをするとき、どの楽器を演奏している奏者にとっても、テンポは同じです。
- 合奏→指揮者のテンポに合わせる
- アンサンブル→主席奏者(1stパート)にテンポを合わせる
- 練習→メトロノームにテンポを合わせる
拍の1つ1つを、陸上競技のスタートだとイメージして、どの奏者(走者)よりも速く出るつもりで演奏しましょう。
ただし、陸上競技と同じで、フライングは禁止です。
陸上のスタートをイメージして、どのパートよりも速く立ち上げる。
1-2.音を速く立ち上げるメリット
低音楽器が先頭に立って、テンポを作っていくと、音楽にグルーヴ感が生まれます。
「グルーヴ」という言葉に正確な定義はありません。
高揚感の一種とも言われます。
グルーヴ感のある演奏は、次のような特徴がある、と私は考えています。
- 聴いていて、その演奏に引き込まれる
- 興奮する・テンションが上がる
1-3.速く音を立ち上げる難しさ
しかし、バリトンサックス・低音楽器が、他のパートよりも速く音を立ち上げることは難しいです。
主な理由は、次の2つです。
- 低音楽器は、管が長いので、息を入れてから音になるまでに時間がかかる
- クラシックの場合、テンポはメロディが決めることが多い
①低音楽器は管が長い
低音楽器は、管が長いので、息を入れてから音になるまでに時間がかかります。
つまり、高音域・中音域と同じようにテンポを感じていると、確実に遅くなります。
低音楽器、遅いよ!
「低音楽器が遅い」という指摘が多くなるのは、このような理由です。
他の楽器より速く吹こうとして、ピッタリくらい。
他の楽器より「かなり」速く吹こうとして、ようやくグルーヴ感を得られる。
こんなに速く・前に出て吹かなきゃいけなかったのか…驚
でも演奏がすごく良くなったし、何より低音が先導してくれると、自分たちが演奏しやすい。
レッスンの場で、私が指導すると、このような感想をもつ方がほとんど。
「低音楽器が、音を先に出すだけ」と侮ってはいけない。
②テンポはメロディが決める
一般的にメロディは、高音域の楽器がとることが多いです。
そして、特にクラシックの場合、メロディに合わせて、テンポが微妙に変わっていきます。
メロディが上行していくところで、テンポが微妙に速くなる
基本的にポップスは、テンポが一定です。
ですので、クラシックにはテンポを指示する指揮者がいて、ポップスにはいません。
①で解説したように、ただでさえ低音楽器は、速く音を立ち上げるのが難しいです。
それに加え、自分のパートではないメロディパートを先読みして、テンポを把握しなければならないのです。
メロディを先読みして、テンポを把握する。
把握したテンポで、他のパートより先に音を出す。ただし、フライングはしてはいけない。
こう考えると、簡単に見えた低音楽器の楽譜も、効果的に演奏するのは、かなり難しいことだと分かる。
厳しいことを言うと、このような努力をしないで、なんとなく楽譜の音を並べるのは、演奏者の怠慢。
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2.バリトンサックス・低音楽器の音程は、低めにとるのが原則
バリトンサックス・低音楽器の音程は、低めにとります。
音程が高くなってはいけない、と言い換えることもできます。
主な理由は、次の通りです。
- 音程が低くても違和感がないが、少しでも音程が高いと違和感を感じやすい。
- 低音パートが多くとる主音は、音程が高くなってしまうと、他のパートが音程を取りにくい。
- 和音の音程は、幅を広く(高音楽器がより高く・低音楽器がより低く)することで、響きが増す。
低音楽器は、チューナーでピッタリとるより、低めの音程が好まれる。
私がバリトンサックスを演奏するときは、少し低めにチューニングをしている。
音程については、こちらの記事で解説しています。
長くなってしまいますが、大切な考え方を詳しく記載していますので、ぜひお読みください。
3.打楽器を聴いて、音の雰囲気を揃える
吹奏楽などで低音楽器できざみをとる場合、同じパートを演奏している打楽器を探しましょう。
打楽器パートの雰囲気に、きざみを揃えます。
- スネアドラム→音の入りははっきりしていて、余韻も少ない
- バスドラム→音の入りは柔らかく、余韻が長い
- ティンパニ→バスドラムと比較して、やや硬めの響き
同じ楽譜であっても、同じパートを演奏する打楽器を意識しましょう。
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まとめ
低音楽器を演奏するポイントは、次の通りです。
- どのパートよりも速く音を立ち上げる
- 音程を低めにとる
- 一緒に演奏する打楽器を確認する
低音楽器の難しさや、奥深さを感じてもらえたでしょうか?
「低音楽器の楽譜は地味だし、簡単でつまらない」なんて思わずに、突き詰めていってもらえたら嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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