サックス教本の代表であるラクールの練習方法を、1曲ごとに解説します。
ここでは、第2曲目を解説します。演奏例は、こちらで公開しています。
ラクールには本来、ピアノ伴奏はありません。
しかし、サックスのような単音楽器(1度に音が1つしか出せない楽器)であっても、和声の流れを意識して演奏することは大切です。
今回使用したラクールのピアノ伴奏は、作曲家の柳川 瑞季さんが作曲・演奏したものを提供いただきました。
私自身、ラクールは50曲全てを学習しました。
また、ラクールに関しては独学でも、レッスンを受けたことも、レッスンをしたこともあり経験豊富です。
私自身がつまづいた点、レッスンする際に重視している点を中心にまとめました。ぜひ、最後までお読みください。
全体を通して
演奏全体の注意点を解説します。
この練習曲のテーマ、習得すべき技術とも言えますので、特に意識して練習しましょう。
跳躍進行
2曲目は、「跳躍進行が多い」という特徴があります。
跳躍進行とは、音と次の音が隣り合っていないような状態です。
それに対して、音と次の音が隣り合った(音階の次の音)となっている状態を「順次進行」と呼びます。
スラーやレガート
跳躍進行は、スラーやレガートでの演奏が、順次進行と比べて難しい。
スラーやレガートは、息をまっすぐ入れながら、指だけ変えて演奏します。
順次進行であれば、音は隣り合っているので、吹奏感はほとんど変わりません。
音と音の間が離れるほど、吹奏感が変わってしまうので、指を変えただけでは特定の音が鳴らなかったり、汚い音になってしまったりします。
高い音への跳躍
1オクターブなど、音が高い方へ大きく跳躍する場合、ポイントとなるのは「高い音に入る前の低い音」です。
低い音をしっかり演奏し、そのエネルギーを使って、高音域を演奏します。
イメージとしては、低い音の演奏は、高くジャンプする前に、膝を大きく曲げている状態です。
テヌートの演奏法
テヌートが書かれた音は「音に重さを乗せて」演奏します。
一般的にテヌートは、「音の長さを保つ」という意味で書かれています。
しかしサックスを演奏するときは、「音に重さを乗せる」と解釈する方が多いです。
そして、弦楽器奏者が弓をしっかり返すときのようなイメージで、タンギングをします。
ただし、音量はpなので、音楽の流れに合わない、過度な表現は控えましょう。
弦楽器の奏法は、クラシックを勉強するのに非常に役に立つ。
サックスばかりでなく、他の楽器の演奏も積極的に聴こう!
文字と記号のクレッシェンド・デクレッシェンド
クレッシェンド・デクレッシェンドは、一般的に2通りの書き方があります。
- 文字→長いスパンで、音量をじわじわ変化させる
- 記号→短いスパンで、音量を一気に変化させる
2曲目には、どちらの表記もありますので、違いを意識しましょう。
クレッシェンド・デクレッシェンドのやりすぎは禁物
あくまで音楽の流れが優先
クレッシェンド・デクレッシェンドは、音量差が大きいほど偉いわけではありません。
どのように演奏すれば、より曲の良さが出るか、考えながら演奏しましょう。
個別のポイント
各小節やフレーズごとの個別の注意を解説します。
24小節目
上のソ#は、サックスの中でも比較的、良い音がしにくいです。
ロングトーンなどで、このソ#の音がfで良い音が鳴る吹き方を探しましょう。
フレーズを初めから吹いても、この吹き方ができるように、計算して演奏しましょう。
40・42小節目
4拍目がアウフタクトになっています。
次の小節の1拍目に向かって演奏します。
跳躍も大きいので、前述した通り、アウフタクトの音にしっかりエネルギーを込めて、次の音に向かいます。
また、同じ形のメロディで音量差を出しています。
この2つの部分は対比を出しましょう。(mf部分が提案で、p部分が応答)
45・46小節目
同じ音が並び、タンギングで音の間を切ります。
同じ弱音であっても、9小節目とは違い、テヌートがありません。
吹き方を明確に分けましょう。
テヌートがある場合のほうが、しっかり音を切ることが多いです。
但し、「テヌートがないから」といって、タンギングがあまりに不明確なのはNGです。
また、前のフレーズがpに対して、こちらはppなのでより静かになるように。
ラクール全般の練習方法や次の曲に進むべきタイミングなどについては、こちらの記事で解説しています。合わせて参考にしてください。
>サックス教本・エチュード~ラクールの練習方法と得られる効果
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
サックス初心者が最短で中・上級者になるためのメソッドをこの1冊に詰め込みました。
以下のリンクから冒頭の数ページを無料で読むことができます。(Kindle unlimited会員は全て無料で読めます。)