- サックスのブレス・息継ぎの正しいやり方を知らない
- ブレス・息継ぎについて深く考えたことがない
実はブレス・息継ぎに無頓着でいると、サックスの技術はなかなか上達していきません。
なぜならブレスは音を出す前の準備だからです。音を出すときにいくら注意をはらっても、その前の準備がおろそかでは良い音は出ません。
国際コンクール上位入賞・吹奏楽のCDレコーディングを30枚以上リリースした私が実践するブレス・息継ぎの方法を公開します。
この記事では、サックスのブレス・息継ぎの正しいやり方を解説するとともに、よくある誤解についても解説しています。
この記事を読むとブレス・息継ぎの正しいやり方が理解でき、あなたの音が大きく良くなる可能性があります。ぜひ最後まで読み、実践してみてください。
・一般的にブレスは口の横から取って、上下の歯は動かさない
・より多くの息を吸うには下顎をわずかに下げてブレスを取る
・首や腰をかがめないようにサックスを構える
1.サックスのブレス・息継ぎのやり方
サックスのブレス・息継ぎについて、一般的な方法から私自身が実践している方法まで詳しく解説していきます。
1-1.一般的なブレス・息継ぎのやり方
サックスのブレス・息継ぎは、一般的に「口の横から」空気を入れます。
アンブシュアを作った状態から、上下の歯や下唇は固定したままブレスする。
また息は口で吸うのが基本です。鼻では取り込める息の量が少ないからです。
大量の息を短時間で吸わなければならないときだけ、鼻と口両方で吸うケースもありますが、かなり頻度は少ないです。
1-2.より多く息を取り込むやり方
先ほど紹介した一般的なブレス・息継ぎの方法では、アンブシュアが崩れにくいというメリットがあります。
一方で多くの息を取り込むには不都合があるのがデメリットです。
その場合、下顎をわずかに下げてブレスを取ると、より多くの息を取り込むことができます。
この際に上の歯は動かないように固定します。
ブレス・息継ぎ後に下顎を戻すとき、マウスピース噛まないように
下顎はブレス前の位置に戻せるように意識します。この点が難しいため、下顎を下げるブレスはNGという方もいらっしゃいます。
特にブレス後に低音域を演奏する場合、少しでも噛んでしまうと音の立ち上がりにノイズが入ってしまうので、より注意してください。
私自身は楽に吸えるので、下顎を下げてブレスを取っています。
1-3.ブレス・息継ぎで大切な姿勢
ブレス・息継ぎをする上で重要な姿勢に関する2つのポイントを解説します。
①肩を上げない(力まない)
息を吸うときは肩が上がらないように注意しましょう。
肩が上がってしまう状態というのは、力みがあるということです。力みは演奏にとって大敵です。
動くのは腹式呼吸によって膨らむお腹くらいです。
②首や腰は自然な姿勢で
演奏するときには、楽な姿勢でまっすぐ前を向いてサックスを構えます。
首や腰をまっすぐな状態でサックスを演奏する
試しに首や腰をかがめて呼吸してみてください。呼吸する際にひっかかり、スムーズに呼吸ができないことがわかりますか?
わずかな差に感じるかもしれませんが、演奏にとっては一大事です。
呼吸がスムーズにできる状態に合わせて、ストラップの高さなどを調整しましょう。
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2.腹式呼吸と吸気主動
サックス・管楽器を演奏するうえで大切な「腹式呼吸」「吸気主動」の考え方について解説します。
2-1.腹式呼吸について
腹式呼吸は一言で言うと「息を吸うときにお腹が膨(ふく)らみ、吐くときにお腹がへこむ」呼吸法のことです。
ただし意図的にお腹を膨らまそうとするのでなく、自然と膨らむのが良い状態です。お腹が膨らむほど良いというわけではありません。
息を吸ったときにお腹が膨らむかどうかより、横隔膜が下がっているかどうかに注目する
横隔膜の動きを意識できるかどうかで、これから解説する重要ポイント「吸気主動」ができるかどうかが決まります。
ちなみに仰向けの状態で呼吸すると、腹式呼吸になりやすいので、上手くできない方はぜひ試してみてください。
2-2.吸気主動について
吸気主動とは「吸気(空気を吸うこと)が主動(主な動き)」という考え方のことです。
腹式呼吸を使って息を深く吸うと、横隔膜がしっかり下がった状態になると思います。
この状態で脱力すると、息を吐こうとしなくとも、勝手に体の外に息が出ていくことを確認してください。
この勝手に出ていく息を利用してサックス吹けば、力むことがなくなり演奏が非常に楽にスムーズに行えます。
具体的には横隔膜が一気に戻らないようお腹で我慢(※)しながら、息を少しずつ体の外に出していきます。
※このお腹での我慢が「お腹で支える」という行為です。やみくもに腹筋に力を入れればよいわけではありません。
「吸気主動」の考えは私のサックス人生を変えた、最も大切にしている奏法の1つです。
吸気主動に正しいアンブシュアを組み合わせれば、サックスを演奏するにあたり「息を吐こうとする」必要はありません。(脱力しているだけで息が外に出るため)
吸気主動に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
>管楽器の呼吸法 第1回~腹式呼吸の復習と「吸気主動」という新しい考え方
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3.ブレス・息継ぎに関する誤解
私自身がレッスンをしていて感じた、ブレス・息継ぎについてよく聞く誤解について紹介します。
(誤解①)ブレスするたびに100%吸いきる
ブレスを取るたびに、100%満タンで吸いきるようにする方を見かけますが、これは間違いです。
もちろん長い休符などで、ブレスをとる時間が長く取れる場合は、100%吸う形でも問題ありません。
(ただ本当に100%フルで吸おうとすると力むので、「100%近く」という理解にしておいてください。)
しかし、ブレスにかけられる時間が短い場合は、100%吸うことができないので演奏が不自然になります。
ブレスにかけられる時間が短い場合、小さなブレスを回数多く取る方が有効です。
また息を吐き切ってから吸うと脱力しただけで、肺の中に勝手に息が取り込まれます。(水泳の息継ぎとおなじ要領です。)
この力を利用して吸うと楽にブレスが取れます。
(誤解②)ブレストレーニング・肺活量が1番重要
とにかく肺活量を鍛えようとする方がいますが、これも誤った認識です。
プロの管楽器奏者であっても、肺活量が平均程度というのは珍しくありません。
もちろん肺活量が多いに越したことはありませんが、腹筋などに時間を当てるならその時間を練習や良い音楽を聴く時間にあてた方がはるかに有益だと考えます。
重要なのは「息をいかに音に変換できるか」という点です。
息が漏れてしまったり、雑音になってしまったりするとロスが大きくなります。
また上手く自然にブレスを取る技術も重要です。
上手く自然なブレスができれば、息継ぎの回数が増えても演奏に不自然さは生まれません。
(誤解③)苦しいときは息をよりたくさん吸う
演奏中に苦しくなったとき、とにかくより多くの息を吸おうとしていませんか?
もちろん息が足りないケースもありますが、逆に「息が余り過ぎて苦しい」ケースもあり得ます。
肺の中に空気がたくさん入っていても、吸ってから時間がたった古い息が溜まっていると苦しいと感じるケースがあります。
その場合、長い休符など時間の取れるタイミングで、古い息を音を出さずに外に吐くことが必要です。
特にオーボエは、吹き口が狭いことから息が余る楽器として知られています。そのためオーボエ奏者は息を吐く技術も勉強します。
息が余り過ぎて苦しい状況が多く発生するのは主に次のケースです。
- 長い休符がないようなソロの曲やエチュードを演奏するとき
- アルトやソプラノなど小さめの楽器を演奏するとき
長い休符があれば、肺の中の空気をいったん外に出し、リセットする時間が取れます。
またテナーやバリトンなどの大型楽器は息を多く使うので、息が余る局面が少なくなります。
普段は吹奏楽を中心に活動しているアルト奏者が、ソロ曲やエチュードを通そうとすると起こりがち。
対策できるように通し練習で「余分な息を吐く」ことを意識してみてください。
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より詳しく「息」について学びたい方へ
「息」や「呼吸」についてより詳しく学ぶのはこちらの書籍がおすすめです。安価で購入しやすいのも助かります。
「朝練」シリーズは基本的な内容が書かれていることが多いですが、この呼吸法の書籍はかなり専門的な内容まで踏み込んで書かれています。
まとめ
息継ぎ・ブレスについて、ポイントは次の通りです。
- 一般的にブレスは口の横から取って、上下の歯は動かさない
- より多くの息を吸うには下顎をわずかに下げてブレスを取る
- 首や腰をかがめないようにサックスを構える
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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