サックスのソロコンテスト向けの曲を紹介していきます。
曲名だけではなく、演奏時間や難易度、難しいポイント等も紹介していきます。
今回はアルトサックスの中級〜上級編です。
アルトサックスでソロコンで入賞を狙いたい方、将来的に難しい曲にチャレンジしたい方、ぜひ最後までお読みください。
他の方の評判や、実際にソロコンで演奏されているかも調べてはいますが、私自身が演奏したことのある曲から、選んでいます。
実際に演奏した生の感想をお伝えしていきますので、ぜひ最後までお読みください。
1.ソナタ(クレストン作曲)
- 演奏時間…約13分半(1楽章:約4分半・2楽章:約5分・3楽章:約4分)
- 難易度…中級〜上級
- フラジオ…1楽章にあり(ソ♮)
ソロコンでは、1楽章の人気が圧倒的に高いです。
基本的には技術重視の曲ではありますが、歌う箇所もいくつか見られます。
この曲を取り組む場合、まずは1楽章にチャレンジするのが良いです。
2楽章は、音色と歌勝負で、技術をアピールする部分はありません。
3楽章は、フラジオは登場しないものの、ピアノとの掛け合いも難しく、指定テンポまで上げるのがかなり大変ですが、チャレンジする価値はあります。
アクセントの位置が分かるように、軽快に演奏しましょう。
- 1楽章の冒頭部分の指が難しい。第一印象を決める場所なので、指をテキパキ動かす。根気強く練習。
- 高音域でアクセントを多用するので、力んで音程高くなったり、音がキツくなったりしないように。
- 指回しの部分と歌う部分では、明確に音色を変える。
練習しやすいように、曲想の変わり目ごとにチャプターで区切っています。
2.アディオス・ノニーノ(ピアソラ作曲・啼鵬編曲)
- 演奏時間…約5分(途中のピアノソロ1分をカットすることも可)
- 難易度…中級〜上級
- フラジオ…あり(ソ♮・ソ#・ラ♮)※ただし、ソ#はオプションなので必須ではない
サックスの技巧的な独奏(ピアノなし)→ピアノを入れて歌うメロディ→フラジオを伴う壮大なメロディ、という構成です。
まさにソロコンには、もってこいの構成となっています。
色々な音源を聴いて、リズムを少し楽譜と変えてみても良いです。(楽譜の書き換えがダメと、ソロコンの規定にある場合はもちろん不可です。)
冒頭の独奏部分は、独奏ならではのテンポ感・間の取り方がありますので、この曲に限らず、様々な独奏曲を聴いて、研究してみてください。
ソロコンでも取り上げられる曲ですが、コンサートで演奏しても、かなりウケが良い選曲です。
- 冒頭の独奏部分の表現方法。
- フラジオのラ♮→ファ♮の速い動きがあり。ファ♮をフロント+1+2のキーで取るなど、替え指で対策を。
- 最後の音がフラジオ(ラ♮)の伸ばしなので、外してしまうと印象が悪い。プレッシャー対策を。
演奏を公開しています。練習しやすいように、曲想の変わり目ごとにチャプターで区切っています。なお、楽譜とは若干リズムを変更して演奏しています。
3.プロヴァンスの風景(モーリス作曲)
- 演奏時間…約13分半(1楽章:約2分半・2楽章:約1分半・3楽章:約1分半・4楽章:約4分半・5楽章:約3分半)
- 難易度…中級(1〜4楽章)・中級〜上級(5楽章)
- フラジオ…なし
ソロコンで推奨されるのは、1楽章+2楽章、または5楽章になります。
2楽章と3楽章の長さは同じくらいですが、2楽章の方が音色・歌がより表現できます。
4楽章は名曲ではありますが、終止ゆったりした曲で、コンテスト向けとは言い難いです。
5楽章は、Allegroのテンポの中で、曲の大半が16分音符です。
大きな跳躍は少ないですが、音数が多いので、高い集中力と練習量が求められます。
- 高音のド#が多く出てくるので、音程に注意。
- 技術的に難しい箇所であっても、アーティキュレーションは明確に。
参考音源を録音しました。練習番号ごとにチャプターで区切っています。
4.スカラムーシュ(ミヨー作曲)
- 演奏時間…約8分(1楽章:約3分・2楽章:約4分・3楽章:約2分半)
- 難易度…中級〜上級
- フラジオ…なし
2楽章は美しいメロディですが、ソロコンという意味では、1楽章か3楽章から選択するのが良いです。
人気があるのは、1楽章ですね。
音数が多い曲なので、譜読みには時間がかかります。また1楽章はパームキーを頻繁に使うので、スケールなどで普段から慣れておかないとかなり難しいです。
1楽章と3楽章に関しては、歌う箇所は少ないので、歌よりも技術に自信のある方は、候補にしてみても良いのではないでしょうか。
- 終止高いテンションと、明るい音色で演奏する。
- 速いフレーズの中にも大きな跳躍がある。柔軟なアンブシュアと息づかいが必須。
参考音源を録音しました。参考にしてみてください。
5.ワルツ形式のカプリス(ボノー作曲)
- 演奏時間…約5分
- 難易度…上級
- フラジオ…なし
この曲は独奏(ピアノ伴奏なし)なので、ピアニストが見つからない場合に、重宝される曲です。
ただし、演奏難易度はかなり高いです。
プロの録音を聴くと、特別難しそうには感じないかもしれません。
しかし、実際に曲を練習してみると、全く印象が変わります。
譜読みだけで、かなり時間のかかる曲ですので、覚悟を持って取り組むようにしてください。
- 調号は書かれていないが、臨時記号だけでかなり目まぐるしく調性が変わっていく。
- 数多くの装飾音符と跳躍
フラジオ運指
今回紹介した曲では、フラジオを使う曲があります。フラジオの運指はこちらを参考にしてください。
また、フラジオの演奏方法・導入練習については、こちらの記事で解説しています。
>サックスのフラジオ~演奏のコツ・フラジオ特有の演奏方法と導入練習を解説
(番外編)サックスのソロコンで選曲をするときの注意点
サックスのソロコンの選曲をするときに注意すべき点は、「ピアノ伴奏の難易度」です。
実は、サックスよりもピアノ伴奏の方が、はるかに難しいケースが多いです。
ピアノ伴奏をお願いする人と、必ず一緒に選曲をするようにしてください。
ピアノ伴奏は、完璧にできれば素晴らしいですが、「一部の音を抜く」ことも考えて演奏してみてください。
(プロのピアニストでも、曲によっては音を抜いています。)
- ピアノ伴奏者に、選曲の相談をする。
- ピアノ伴奏は、場合によっては音を抜いてもOK
最後までお読みいただき、ありがとうございました。