サックス奏法

サックスの低音域のコツ〜音が裏返る・音が震える場合の対応方法

  • サックスの低音域が裏返ってしまう・震えてしまう
  • サックスの低音域をきれいに吹きたい

実は、低音域が出ない理由は、演奏法だけでなく、楽器の調整不良が原因であることも多いです。

なぜなら、キーをきちんと押したつもりでも、実はキーがふさぎきれていないケースがあるからです。正しくふさがれていないと、ただでさえ難しい低音域を出すのが、より難しくなります。

サックス歴20年以上で、今では吹奏楽のCDレコーディングを30枚以上リリースした私が考える、低音域を演奏するうえでのチェックポイントを公開します。

この記事では、楽器の調整不良を確認する簡単な方法と、低音域特有の奏法を紹介していきます。

この記事を読むと、低音域が出ない理由を見つけることができて、スムーズに低音を演奏することができるようになります。ぜひ最後までお読みください。

結論

①楽器の調整ができているのが大前提

②息はゆっくりたくさん・マウスピースを噛まない

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1.楽器の故障・調整不足を疑う

楽器自体が故障・調整不足だと、どのような手を尽くしても低音域がうまく出ることはありません。

そのため、真っ先に確認すべきは楽器の故障・調整不足です。

まずは次の方法で、楽器の故障・調整不足がないか、確認してみてください。

キーの名称が分からない場合は、こちらを参照してください→サックスのキー名称

この確認方法で、楽器の故障・調整不足だと分かる理由は、次の通りです。参考情報ですので、飛ばしても大丈夫です。

  1. 右手でキーを押さえず、G#キーを押すと、3番キーの下が開く。
  2. 右手の4番キーから下のキーを押すと、G#キーを押しても、①で開いた場所が開かなくなる。
  3. 低音のC#・B(H)・B♭キーでも同じく、右手のキーを押さえなければ①と同じ場所が開き、右手のキーを押さえれば開かなくなる。
  4. 低音のC#・B(H)・B♭キーを使って演奏する、下のド#・シ♮・シ♭は、①の場所が正しく閉じていないといけない。
  5. 一方、下のド♮は、G#キーを押しても押さなくても音は変わらないのが正常。
  6. 下のド♮を演奏して、G#キーを押して、音程が変わってしまうのは、②の部分の調整がうまくいってないことになる。

下のド♮の指で、G#を押したのを選択したのは、同じ動きをするC#・B(H)・B♭キーを使ってしまうと、音自体変わってしまって、②の調整の不具合がわからないからです。

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2.サックスの低音域の演奏方法

サックスの低音域を、出しやすくするためのコツをまとめました。

2-1.息をたくさん入れる

低音域を演奏するためには、たくさんの息が必要です。

なぜなら低音域は、キーをふさいで、長い管を使うからです。ソプラノ→アルト→テナー→バリトンの順で、楽器が大きくなる(=管が長くなる)につれて、低い音が出るのと同じ原理です。

サックスの管の長さ

ベルの先近くまで息が届かないと、低音は鳴りません。

ですので、必然的に使う息の量が増えてしまう、というわけです。

2-2.マウスピースを噛まない

マウスピースを噛んで演奏するのはNGです。息がたくさん入れようとすると、口元に力が入りがちなので注意して下さい。

低音域を演奏したときのリードは、大きく・ゆっくり振動します。噛みすぎてしまうと、そのリードの振動を妨げてしまいます。

噛まないようにアンブシュアを作るヒントは、こちらの記事にまとめました。難しい内容もありますが、気になる方はぜひ読んでみてください。

>サックスのアンブシュア 〜顎(あご)の使い方・下唇の痛みからの脱却方法

2-3.息はゆっくり入れる

息の量はたくさん必要ですが、スピードは少しゆっくり入れます。

先ほど解説したように、低音域はリードの振動がゆっくりになるためです。

もちろん遅すぎてはいけません。息のスピードを意識しながら反復練習しましょう。

2-4.キーはしっかりおさえる

力む必要はありませんが、キーがしっかりふさがっているか確認してみましょう。

キーがしっかりふさがれていないと、そこから息が漏れて、正しい音が出ません。

特に小指を使うキーが、微妙に押しきれていない可能性もあります。

しかし、力を入れてキーを押さないと低音域が出ない場合、楽器の調整不良の可能性があります。

2-5.マウスピースとリードのセッティングを考える

マウスピースとリードの組み合わせによって、抵抗感が変わり、低音域を出すのが難しくなることもあります。

抵抗感が強いほど、より息の量が必要となり、低音域を出すのが難しくなります。

抵抗強い抵抗弱い
マウスピース開きが広い開きが狭い
リード硬い
(番手が大きい)
柔らかい
(番手が小さい)

「抵抗感が強い方が、太い音色が出て、響きやすい」といって、コントロール度外視でセッティングをよく見かけます。しかし、狙った場所で音が立ち上がらなければ意味がありません。

バージェス

私自身は、抵抗感弱めでコントロールしやすいセッティングを優先して、音色や響きは技術で補うようにしています。

2-6.息の方向を下向きにしてみる

これまで解説した内容でも、低音域がうまく出ない場合、息の向きをほんの少し下向きにしてみましょう。

下顎(あご)を少し引くと、息の方向が勝手に下向きになります。

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3.サックスの低音で良くある悩みと解決のヒント

「サックスの低音域がうまく出ない」と悩む方のほとんどは、次の2つのどちらかです。

3-1.音が裏返る(狙った音より高い音が出てしまう)

これは先ほど解説した低音域の吹き方のうち、次の2点が守られていないことが多いです。

音が裏返る主な原因
  • マウスピースを噛んでしまっている
  • 息のスピードを速くしすぎてしまっている

音が出なくなるくらい極端に、マウスピースを噛むのをやめたり、息のスピードを落としてみたりしましょう。

そこから少しずつ、いつもの奏法に戻していく途中に、低音域がうまく当たるポイントがあるはずです。

3-2.音が震える

低音域の音が震えてしまう1番の原因は、「ウルフトーン」という呼ばれるノイズです。

ウルフトーン

演奏者が意図していないのに、楽器の個体によっては、音が震えてしまうもの。諸説ありますが、次の2つが主な原因と言われています。

  1. 楽器の調整不良
  2. 楽器自体の共鳴に問題のあるもの

音が震える現象が発生したら、次の順番で確認しましょう。

対応方法
  1. 上手な人に楽器を吹いて、同じように音の震えが出るか確認してもらう
  2. リペアマンに相談する
  3. 他のリペアマンに相談する(セカンドオピニオン)

音が震える理由として、演奏法自体がうまくいっていない可能性もありますので、まずは周りの上手な方に楽器を吹いてみてもらってください。

それでも音が震える場合、楽器のせいである確率が高いので、リペアマンに相談してみてください。

ウルフトーンの解消は、非常に難易度の高い調整となります。

リペアマン

楽器自体に問題があるので、調整ではうまくいかないですね…

と言われても諦めずに、腕の良いリペアマンを探してみてください。

絶対はありませんが、御三家(セルマー・ヤマハ・ヤナギサワ)のような優れたメーカーのサックスなら、直る可能性も高いと思います。

バージェス

情熱と腕のあるリペアマンの方が、調整してくださった楽器を演奏すると、良い仕上がりに本当に感動します。

リペアに関する、よくある疑問点はこちらの記事にまとめています。

>サックスのリペア・調整・修理〜体験談から価格・期間・頻度を解説

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(応用)全ての音域の吹き方を統一する

理想は全ての音域を、同じ吹き方で演奏することです。

ここまで解説してきた内容は、あくまで「低音域を出しやすくする」ための解説でした。

初心者の場合、まずは低音を鳴らす感覚をつかむことが大切です。しかし、中〜上級者の方は、全ての音域を同じ吹き方で吹けるよう練習してみてください。

全ての音域を同じ吹き方で演奏するメリットと、具体的な練習法をこちらにまとめています。演奏が劇的に変わりますので、ぜひ読んでチャレンジしてみてください。

>ロングトーン応用編~サックス・吹奏楽奏者に向けた効果的な練習法

まとめ

サックスの低音域の吹き方のコツと、よくあるお悩みについて解説してきました。

今回の要点
  • まずは楽器の故障・調整不良がないことを確認
  • 息はたくさん・ゆっくり入れる
  • マウスピースを噛まない

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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