本日は演奏するときの緊張対策、すぐに実践できて、即結果がでて、なおかつ簡単にできる対策をお伝えします。
私自身、レコーディングでのソロの演奏や、1回のリハーサルのみで演奏会本番を迎えるなどタフな本番を経験してきました。
そんな私が、緊張しているときに使う3つの緊張対策をご紹介します。
女性楽器奏者
「演奏会や合奏のときに、緊張で個人練習の時のように演奏ができない」「演奏会は普段と違う環境だし、お客さんからの評価も気になってしまって、演奏に集中できない」
なのですぐにできる緊張対策が知りたい!
この悩みを解決するのに、私バージェスからの提案は次の3つです。
・呼吸を深くとる
・足もとに力を入れる
・楽譜で今演奏してる音符 or 指揮者の右手だけに注目する
この3つについて、具体的な方法と緊張対策になる理由を順番に解説していきます。
今回書いた方法を使えば、緊張からくる演奏への悪影響を、「誰でも」「簡単に」軽減することができます。
今回の方法は知っているか、知らないかが重要で、大変な練習をしなければ習得できないような技術ではありません。
つまりこの記事を読むだけで、緊張からくる悪影響を軽くできますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
1.呼吸を深くとる
管楽器奏者にとっては、演奏の安定にもつながります。また、呼吸を深くとることで、精神的にリラックスできるという効果もあります。
1-1.呼吸を深くとると良い理由
管楽器奏者が、緊張して思ったような演奏ができない原因は、呼吸が浅いからです。
緊張しているときに呼吸に注目すると、普段はお腹の下まで吸えているはずが、胸のあたりで止まっていることが確認できます。
浅くしか吸えていない状態では、圧力の高い息を出すことができません。
「緊張した場面では、演奏の調子が思わしくない」と感じる方は、呼吸に意識を向けてみてください。
1-2.呼吸の戻し方
浅くなってしまった呼吸を戻すために、いつもより意識的に呼吸を深くして、音出しをします。
お腹の下・横隔膜を下げることを意識して、息を吸う。
始めはゆっくり深く吸うことを意識して、徐々に演奏で使うブレスの速さに戻していく。
本番前の音出しで、お腹・横隔膜を使った呼吸が意識できると、いつもの演奏に戻すことができます。
シンプルな方法だけど、効果はかなり大きい。
管楽器にとって、呼吸は重要です。呼吸に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
>管楽器の呼吸法 第1回~腹式呼吸の復習と「吸気主動」という新しい考え方
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2.足もとに力を入れる
演奏するうえでの理想・大前提は”できるだけ脱力すること”です。脱力の重要性に関しては、こちらで解説しています。
>楽器演奏・サックスが上達するために、見落としがちな1番大切なこと
身体全体が脱力した状態であるのが理想ですが、緊張してしまうと特にうまくいかないことが多いです。
そこで「足もとだけ」力を入れることを提案します。
2-1.「足もとに力を入れる」具体的な方法
「足もとだけ」わざと力を入れてみましょう。具体的なやり方としては、例えば次の通りです。
- 地面をわざと強く踏みしめる。
- 足の指にわざと力を入れる。
- ふくらはぎにわざと力を入れる。
足もとだけ力を入れることができたら、演奏するときに重要な場所である肩とひじにわざと力を入れてみてください。
…どうでしょう?肩・ひじに力を入れることはできますか?力を入れられない、またはそこまでいかなくとも力を入れにくいという状態にはなりませんか?
「足もとに力を入れる」ことで、肩やひじの脱力状態を強制的に作り出すことができる
2-2.「足もとに力を入れる」ことが有効である理由
人間の身体はつながっているので、先にどこか身体の一部分だけ力を入れると、身体の中で力を入れられる場所は少なくなったり、力を入れにくくなったりする部分がでてきます。
身体全体に1度で力を入れることは簡単です。
「足もとだけ力を入れる」ことで、多くの楽器を演奏するうえで大切な肩やひじに力が入りにくくなります。
演奏するうえで重要度の低い足もとにあえて力を入れて、演奏するときに重要な肩やひじを、緊張から生まれる力みから守る
2-3.「足もとに力を入れる」にあたって
前述したとおり、演奏するうえでの理想・大前提は”できるだけ脱力すること”です。
足もとに力を入れる目的は、「演奏するときに重要な肩やひじを脱力した状態にするため」だということを忘れないでください。
ですので、肩やひじに力が入らない程度の、最低限だけ足もとに力を入れるようにしてください。
- 肩やひじの力が抜ける、最低限だけ足もとに力を入れる
- 肩やひじに力が入らない状態をキープしながら、できるだけ足もとにも力を入れないような演奏方法を探す
- 「足もとに力を入れれば入れるほどエライ」と考える
- 肩やひじは十分脱力できているのに、「地面を踏みしめる」「足の指に力を入れる」「ふくらはぎに力を入れる」の3つのメニューを全てやる
足もとに力を入れるほど、肩やひじには力が入りにくくなります。
しかし日々、脱力を意識して練習をして、肩やひじに力をそこまで力が入っていない状態で演奏できているのであれば、そこまで足もとに力を入れる必要はないかもしれません。
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3.楽譜で今演奏してる音符 or 指揮者の右手だけに注目する
ここまでのテーマが身体に関するテーマだったのに対して、次は精神的なテーマになります。
結論部分では、「楽譜で今演奏してる音符 or 指揮者の右手だけに注目する」と具体的な行為を書きましたが、大切なことは「視野を狭くする」ことです。
3-1.「視野を狭くする」具体的な方法
「視野を狭くする」といってもピンとこないかもしれないので、私が考えるイメージをご説明します。
顔の前に指を1本たててください。
指先だけに注目すると、指先だけがはっきり見えて、指先以外の場所がぼやけて(カメラのピントが合っていないような状態)で見えると思います。
この指先にあたる部分が、楽譜に書かれた今まさに演奏している音符だったり、指揮者の右手だったりします。
私の場合は、基本的に音符を見つつ、テンポが切り替わるタイミングだけ、指揮者の右手に注目をしています。
アンサンブルの場合はケースバイケースですが、合図を出すメンバーの楽器のベルあたりを見ます。
自分が合図を出す場合は、一番合わせたいパートの奏者の目を見るケースが多いです。(アイコンタクトですね。)
3-2.「視野を狭くすること」が有効である理由
視野を狭くなると、脳に余計な情報が入らなくなり、脳の負荷が軽減する。
そうすると狭まった視野で見えているものだけに、高い集中力をかけることができる。
演奏会本番というのは普段と違う環境でどうしても落ち着かなかったり、お客様の評価が気になり雑念が入ったりします。
演奏にだけ集中することで、落ち着きのなさや雑念を感じないようにするのです。
この考えは競走馬の「ブリンカー」と呼ばれる器具でも採用されています。競走馬の周囲の視野を狭めて、前に走ることに集中させるためのものです。
また、このブリンカーの考え方を応用した、わざと視野を狭くするメガネも発売されているようです。
3-3.「視野を狭くする」にあたって
「視野を狭くする」と集中力が向上するので、緊張していないときであっても有効です。もちろん演奏以外でも、勉強や仕事でも応用できるテクニックの1つです。
ただし、1点だけ注意してください。
視野狭くすることをずっと続けていると、…めっちゃ疲れる
長い休符の時は周りを見るなどして視野を広げて、余裕を持ちながら使うようにする
「視野を狭くして集中力あげる」
これはいい方法や~と2時間プログラムの最初からこのテクニックを使っていたら、最後はもうフラフラで立ちくらみとかもひどかった…(倒れるかと思った苦笑)
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まとめ
誰でも簡単にできる演奏会の緊張対策として、次の3つを解説していきました。
- 呼吸を深くとる
- 足もとに力を入れる
- 視野を狭くして、1点に集中する(今演奏している音符付近・指揮者の右手など)
「足もとに力を入れる」「視野を狭くする」という2つの方法は、演奏会本番でいきなり使うことはオススメしません。
本番直前でも大丈夫なので、少しだけでも練習で試して、慣れておきましょう。
「足もとに力を入れる」については、足もとへの力の入れ方・入れ具合、足もとに力を入れた状態での演奏に慣れることが必要です。
「楽譜で今演奏してる音符 or 指揮者の右手だけに注目する」は、具体的に視線を送る場所や視線を変えるタイミングを決めて、体力切れとならないようペース配分に慣れましょう。
しかし、きれいな音色やタンギングなど長く時間をかけて育てていくものとは違い、日々の練習に少しだけ取り入れていくだけで、すぐに役立ち、力となってくれるテクニックです。
今でも困ったときには、私自身も使っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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