サックスのチューニングについて、次のような誤解されている方が多いです。
- サックスのチューニングの音は、B♭である
- 全ての音で、チューナーの真ん中ぴったりを目指す
ここでは、サックスのチューニングに関する正しい知識を詳しく解説をしていきます。また、質問の多い「チューナーの選び方」についても紹介します。
私バージェスの、チューニングに対する考えはこちら!
チューニングは複数の音でする(実音B♭だけではない)
高音域はやや高め・低音域はやや低めの音程がベター
チューナーはどれを選んでも基本OK(無料アプリで良い)
チューニングはサックスを演奏する際に、必ず行うものです。
だからこそ、最後までお読みいただき、正しい知識を身につけてください。
1.サックスのチューニング方法
サックスのチューニングについて、具体的な方法と仕組みを解説していきます。
2-1.チューニングの方法とその仕組み
サックスのチューニングは、マウスピースを楽器に差し込むことによって行います。
- 深く差し込む→音程が高くなる
- 浅く差し込む→音程が低くなる
これは管の長さを考えれば、理解できます。
マウスピースをサックスに、深く差し込むほど、楽器自体が微妙に短くなります。
つまり、「マウスピースを深く差し込むほど、音程が高くなる」ということになります。
見えているコルクの長さは、楽器やセッティング、演奏方法などによって変わるので人によって様々です。部屋の気温によっても変わります。(寒いほど音程は下がりやすい。)
自分が普段、どの程度コルクの長さを残しているのか、目安としてある程度は覚えておきましょう。
1-2.チューニングの基礎知識~440Hzと442Hz
一般的なチューニングでは、440Hz(ヘルツ)か442Hzが用いられます。
440Hz | 国際標準の音程とされている・ポップスで使用されることも |
442Hz | クラシック・吹奏楽など使用 |
Hzとは周波数の単位です。Hzの前にある数値が高いほど、音程も高いです。
(440HzのB♭よりも、442HzのB♭の方がほんの少し高い音になります。)
音程が高い方が、華やかな音楽になりやすいため、442Hzが好まれています。
ちなみに吹奏楽では、打楽器の音程が442Hzで作られているため、442Hzでチューニングします。
ピアノと合わせるときも、基本的には442Hzでチューニングしますが、ピアノの調律は440Hzの場合もあるので、注意が必要です。
サックスのチューニングは、基本442Hzで行えばOK。
ピアノの調律が440Hzの場合、サックスも440Hzで合わせる。またポップスの場合は440HZで合わせることもある。
1-3.(前提条件)チューニングの前にウォーミングアップする
チューニング前に必ず管を温めます。楽器を出して、いきなりチューニングをしてはいけません。
楽器が冷えていると、音程が低くなってしまう。
そのため、管を温めずにチューニングしてしまうと、かなりマウスピースを深く差し込まないと、正しい音程にはなりません。
演奏しているうちに、息で楽器が温められ、どんどん音程が上がっていってしまいます。
チューニングをする前には、必ずウォーミングアップ(軽い音出し)をしましょう。
音が出せない場合は、息で楽器を温めましょう。
- 最低音の運指(シ♭、バリトンはラ)の指づかいにする。
- 息で手のひらを温めるような、ゆっくりで温かい息を入れる。
息をしっかり入れすぎると、音が鳴ってしまうので注意しましょう。
急に管体が温まると、水(結露)が溜まり、ズルズルといった雑音が入ることがあります。解決策はこちらで解説していますので、ぜひお読みください。
1-4.チューニングすべき音
サックスのチューニングを理解するには、サックスの音程の仕組みを知る必要があります。
サックスの音程の仕組み
サックスだけに限りませんが、基本的に管楽器には、次のような性質があります。
- 低い音は、チューナーより低くなりやすい
- 高い音は、チューナーより高くなりやすい
このことからチューニングは、「楽器の音域の、真ん中あたりの音で行うことが良い」ということになります。
- 低くなりやすい音でチューニング→マウスピースを深く入れて、高めのチューニングにしがち
- 高くなりやすい音でのチューニング→マウスピースをあまり入れず、低めのチューニングにしがち
チューニングで使いがちな音
チューニングは、次の音でされる方が多いです。
吹奏楽でB♭でチューニングすることが理由です。
注意すべきは、アルトサックスのチューニングです。
上のソの音という、高めの音域でチューニングをしています。
また、アルトサックスの上のソは、若干音が出しにくいです。
そのため、力んで吹いて音程がさらに高くなりがち、というデメリットもあります。
アルトサックスのチューニング
アルトサックスは、次の2つの音を使って、チューニングすることをオススメします。
シの音程は少し低く、ファ#は少し高くなる楽器が多いと思います。
この2つの音がチューナーの真ん中に近づくあたりがベストです。
複数の音でチューニングする
チューニングは、チューニングB♭の音程だけを、合わせることではありません。
全ての音を満遍なく、正しい音程に設定すること。
サックスは「マウスピースの抜き差し」の1箇所だけで、満遍なくチューニングしなくてはいけません。
「1つの音でチューニングをしなければいけない」なんてルールはありません。
皆さんも自分なりのチューニングの音を見つけてください。
参考までに、私が使用しているチューニングの音は次の通りです。
私は、サックスのチューニングでバランスが良いのは、シとファ#だと考えている。
ただし、ファ#が低くなる楽器もあるので、その場合は別の音を使おう。
1-5.「チューナーの真ん中=正解」ではない
「チューナーの真ん中に合わせた音が、1番良い音程」とは限りません。
人の耳は、次のような音程が心地良いと感じます。
- 高音域→やや高めの音程
- 低音域→やや低めの音程
チューナー真ん中ぴったりの音程よりも、高音域はやや高く、低音域はやや低くてOK
全ての音で、チューナーの真ん中を目指さない
高音域はやや高く、低音域はやや低くなるよう、楽器自体も調整されています。
- ソプラノサックス→少し高めにチューニング
- バリトンサックス→少し低めにチューニング
私は楽器によってチューニングを分けている。
チューニングする上で大切なことは、こちらの記事にまとめていますので、ぜひお読みください。
>サックス・吹奏楽の音程の取り方・コツ~和音の取り方と演奏方法
1-6.チューニングは必ず行う
楽器を吹く際は、必ずチューニングを行ってください。
個人練習の前にはチューニングをしない
合奏やパート練習をする前はチューニングをしても、個人練習の前にはチューニングしない方を時々見かけますが、これは良くありません。
なぜなら楽器を練習していると、音程感が無意識のうちに記憶されてしまうからです。
チューニングをしないで練習をしていると、誤った音程を記憶してしまう。
1-7.チューナーを使わないチューニング練習
ある程度チューニングに慣れてきたら、ピアノやハモデレなどの音を聴いてチューニングできるようトレーニングしましょう。
まずはチューナーの針を見ずに、音だけで合わせてみます。その後チューナーをつけて音程が合っていたかチェックしましょう。
実際の演奏ではチューナーを見ることはできません。(たまにチューナーをつけて本番に出る人がいますが止めましょう。)自分の耳が頼りです。
音程練習の一環として取り組んでみてください。
1-8.純正律を合わせる
意外と知られていないのですが、多くのチューナーで純正律の第3音の音程を合わせることができます。
上記の矢印が、純正律の第3音の音程となります。
長調の第3音は基準値よりも低く、短調の第3音は基準値よりも高く演奏すると澄んだ響きになります。
この矢印の位置は主音(第1音)と第5音が、チューナーでぴったり合った場合の音程なので、実践で合わせるときは、チューナーの針よりも耳で聴いてよい響きを探してください。
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2.使うチューナー・アプリの選び方
サックスパート
チューナーで、オススメがあれば教えてください!
何でも良い!無料アプリでもOK!
2-1.結論:無料アプリでOK
確かに値段の高いチューナーを使えば、より正確に音程を測ってくれるのかもしれません。
しかし、次の理由から高いチューナーはオススメしません。無料のアプリで十分だと考えています。
こちらのアプリは私自身も使っていて、おすすめです!
- 機能は無料のものでも、十分に備えている。
- 結局、全ての音をチューナーの針ぴったりに合わせるのは、管楽器ではほぼ不可能。
- チューナーぴったりの音程が心地よいわけではないので、耳を鍛える方が良い。
- プロの演奏家でも、高級なチューナーを使っている人は多くはない。
それでもチューナーが単体で欲しいのであれば、メトロノームと一体になっているものをオススメします。
私自身は、無料アプリのチューナーやメトロノームを使っているが、特に不便はないです。
2-2.純正率に特化~TonalEnergyチューナー
有料で唯一オススメできるのが、「TonalEnergyチューナー」というアプリです。(700円・2023年11月現在)
このアプリの良さは、音を鳴らしながら、純正率でチューニングができることです。
使い方に特徴のあるチューナーですが、吹奏楽などでハーモニーの中での音程を練習したい方にとっては、試す価値があります。
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3.チューニング力を鍛えるには音程を「歌う」こと
「チューニングがなかなか合わない」「チューニングが合っているか分からない」
このような悩みは、出すべき音のイメージができていない場合に多く起こります。
音程のイメージをつかむには、音程を歌で正しくとることが重要です。
歌で音程を取るためにおすすめの教本はこちらの「コールユーブンゲン」です。
合唱用の教本とありますが、音大でサックスなど声楽以外を先行している学生も必ず学んでいる教本です。
また、歌は通常のチューナーでは正しく測定できないため、「声専用のチューナー」を使用すると、効果的な練習ができます。
楽器で使用するチューナーは無料アプリでも十分ですが、声に反応するするチューナーはより高性能であるため、購入するのがおすすめです。
私自身も「コールユーブンゲン」と「声専用チューナー」でチューニングの苦手を克服しました!
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まとめ
サックスのチューニングに特化して、解説をしてきました。
- 基本442Hzでチューニング
- 複数の音でチューニングする(シ・ファ#を推奨)
- 高音域はやや高め、低音域はやや低めでOK
- 楽器を練習する場合、ウォーミングアップの後、必ずチューニングする
- チューナーは無料のアプリから選んでも、十分な機能
「チューニングだけでなく、音程にも悩んでいる」という方は、こちらの記事もお読みください。
難しい内容も多いですが、音程やチューニングに関して、かなり深い内容を解説しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
サックス初心者が最短で中・上級者になるためのメソッドをこの1冊に詰め込みました。
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