この記事では、2022年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅳ 「サーカスハットマーチ」から、知っておくと便利なサックスの奏法や練習方法を紹介します。
吹奏楽曲を年間100曲以上、吹奏楽のCDを30枚以上リリースした私が感じた、課題曲の演奏のポイントを公開します。
やみくもに練習をしても、コンクールで良い賞をとることは難しいです。
この記事を読めば、練習の質が上がり、良い賞に近づきます。
記事の最後に、私自身が各パートを演奏した動画を掲載します。こちらもぜひ参考にしてください。
演奏解説
「サーカスハットマーチ」を演奏するにあたり、特に必要とされるサックスの奏法・練習方法について解説します。
レガートとスタッカートの吹き分け
曲の前半は、レガートで柔らかく演奏すべき箇所とはっきり硬く演奏すべき箇所が、頻繁に入れ替わります。
- アルト・テナー…7小節目をレガートで、8小節目を明確に演奏
- バリトン…23・24小節目をはっきり、25・26小節目をレガートで演奏
自分のパートはどちらを担当しているのかを考え、奏法をはっきり切り替えることが大切です。
切り替えるポイントは、発音(タンギング)と音色(息づかい)です。
発音(タンギング)
舌のつき具合でコントロールします。レガートで演奏する場合の方が、より舌をソフトな力でリードに触れるようにします。
スタッカートであっても、過度に舌をリードにつけると、ノイズ(雑音)の原因になります。
音が切れていれば、それ以上の力で舌をつけすぎる必要はありません。
音色(息づかい)
レガートの場合は、温かい息を出すイメージで、緩めの息のスピードで演奏します。そうするとレガートにふさわしい音色になります。
逆にはっきりした音を使いたい場合、息のスピードを上げ、圧力を高くしておきましょう。
高い圧力の息を舌で音を切ることで、はっきり音が切れます。息は速い状態をキープして、息を抜いたり、息で音を止めたりしないようにしましょう。
バリトンサックスのきざみ
バリトンサックスは、正しく演奏しているつもりでも、指揮者や聴衆からすると遅れて聴こえるケースが多いです。
他のサックスと比較して管が長く、音になるのが一瞬遅れるため、他のパートと同じようにリズムを感じていても、遅く聴こえてしまいます。
遅れてしまわないために、短距離走のスタートを意識するのがオススメです。スタートの合図はどのランナーにとっても同じでも、実際のスタートを切る速さはランナーによって違います。
全ての拍を短距離走のスタートのように、1番にスタートを切る(=音を出す)心構えを持ちましょう。
低音楽器の演奏に必要な情報は、こちらの記事でより詳しく解説しています。
>バリトンサックス・低音楽器の演奏のコツ~吹奏楽指導者も必見
装飾音符の演奏方法
この曲に限らず、サックス吹きは、装飾音符または装飾音符の次の音をアクセントで演奏しがちです。
アクセントの表記はないので、無意識にアクセントがかかっていないか、自分の演奏を確認してください。
7小節目などにあるメロディは、レガートで演奏すべき箇所です。
特に楽譜にはスラーも書かれているため、アクセントがついてしまうと楽譜通りに演奏できていない、ということで減点になりかねません。
アクセントをつけずにレガートで演奏するためのコツは、圧力の高い息を真っすぐ入れることです。
装飾音符は短い音符なので、息を吹き込まないと良い音にはなりません。しかし、短い装飾音符にだけ息を入れてしまうと、その部分だけが突出して強くなってしまい、レガートでなくなってしまうのです。
そこで、装飾音符がしっかり鳴る息の量で全ての音を演奏し、フレーズを吹き切ってしまう必要があるのです。
息づかいは管楽器奏者にとって永遠のテーマ。
アーティキュレーションも多い7小節目からのメロディは、多様な息づかいが必要。
ちなみに装飾音符は、拍の前に出して演奏するのが基本です。(7小節目の場合、4分音符が3拍目の頭拍とぴったり重なります。)
ソロの注意点
25・26小節目、29・30小節目に登場するソロについて解説します。
アルトサックス
まずはリズムを正確にとれるように意識します。符点8分音符+16分音符の並びは、3連符になりがちです。
上記2つのリズムが正確にとれるように練習をします。(課題曲のソロでは、2小節目のリズムが正しいです。)
符点8分音符+16分音符の並びを、3連符としないためには、8分音符単位で裏拍をカウントすると上手くいきやすいです。
また、スラーとスタッカートの対比も大切です。スタッカートの箇所は、舌でしっかりリードの振動を止めて、音を切りましょう。
音を切る際、息を使ってしまうと、フレーズが切れてしまいます。2小節間、1息で吹き切るつもりの息づかいで演奏し、音を切るのはあくまで舌だけで行いましょう。
バリトンサックス
「solo」の表記はありませんが、この動きはバリトンサックスだけしか演奏していないので、ソロのつもりで表現しましょう。(複数人バリトンサックス奏者がいる団体でも、1本で演奏する方が自然です。)
ただし、あくまで伴奏ではあるので、主旋律のアルトサックスを超えてはいけません。
音形はコントラバスのピッチカートをイメージしましょう。
同じピッチカートでも、4分音符と8分音符では、余韻の使い方など印象がかなり違います。色々な音を聴いて、イメージをはっきり持つようにしてください。
Dからはサックス主体のメロディ
練習番号Dからはサックス主体で音楽を作ります。
バリトンサックスとバスクラリネットが同じ対旋律をとりますが、サックス主体の音楽なので、バリトンサックスが主導権をとって引っ張りましょう。
過度に歌い過ぎない
練習番号Dは、あえて歌い過ぎないように気を付けましょう。ここで歌い過ぎてしまうと、練習番号Eから盛り上がりを作ることができません。
柔らかい良い音で、真っすぐ演奏するのを基本として、そこに少しだけ歌を入れる程度で十分です。
バリトンサックスの対旋律も、歌うために音程の上行・下行に合わせてクレッシェンド・デクレッシェンドをいれますが、やり過ぎは厳禁です。
歌えば歌うほどエライ、とはなりません。
その時々の曲の雰囲気に合わせた、歌い方や表現を考えましょう。
実音Fの音程
出だしは実音Fで始まりますが、アルトサックスの真ん中のレは、楽器の特性上、非常に音程が高くなりやすいのが問題です。
オクターブ下のレと同じ奏法で、オクターブキーを押すと、真ん中のレの音程が上がりにくくなります。
真ん中のレは、音程は難しくとも、音を出すこと自体は難しくありません。そこで無意識に口を締めすぎてしまっているのが、音程が高くなってしまう原因の1つです。
一方でオクターブ下のレは、口を締めてしまうと音が出ません。そのため、無意識に口を緩くして演奏しています。
真ん中のレは、オクターブ下のレと同じ奏法で、オクターブキーだけを押す。
この奏法は、アルト・テナー・バリトン全てで共通。
真ん中のレの音程を直す練習方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
ド#の替え指
アルトサックスには、真ん中のド#が出ますが、音色・音程を整えるために、替え指の使用を検討しましょう。
39小節目は、オクターブキーと3・4・5・6番キー、45小節目はTcキーだけを押すのがオススメです
※キー名称がわからない場合、こちらをクリック→サックスのキー名称
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演奏動画
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