サックス教本の代表であるラクールの練習方法を、1曲ごとに解説します。
ここでは、第4曲目を解説します。演奏例は、こちらで公開しています。
ラクールには本来、ピアノ伴奏はありません。
しかし、サックスのような単音楽器(1度に音が1つしか出せない楽器)であっても、和声の流れを意識して演奏することは大切です。
私自身、ラクールは50曲全てを学習しました。
また、ラクールに関しては独学でも、レッスンを受けたことも、レッスンをしたこともあり経験豊富です。
私自身がつまづいた点、レッスンする際に重視している点を中心にまとめました。ぜひ、最後までお読みください。
全体を通じて
演奏全体の注意点を解説します。
この練習曲のテーマ、習得すべき技術とも言えますので、特に意識して練習しましょう。
シンプルな歌いまわし
前の3曲と比較して非常に歌いやすいですが、音1つ1つで歌う(音を押す)ような表現は避けましょう。
息の使い方はロングトーンで、クレッシェンド・デクレッシェンドを長いフレーズでかけます。
音量や音域に関係なく、常に息がスムーズに流れるように。
ロングトーンで吹きながら、指だけ動かす。
音域によって抵抗感が変わるので、「ロングトーンをしながら指だけ動かす」というのは、実は結構難しい。
理想はどんな音域でも、同じ息の使い方で演奏できるテクニックを身に着けることです。
そのための練習方法をこちらの記事にまとめていますので、ぜひお読みください。
>ロングトーン応用編~サックス・吹奏楽奏者に向けた効果的な練習
ちなみに歌いやすくなったのは、4曲目からは8分音符が登場し、リズムに動きが出たためです。
短調の演奏方法
4曲目では、短調のフレーズが初めて登場します。
音色は柔らかめ・暗めを意識しましょう。
7小節目は長調のメロディーの中で、短調が現れます。
15小節目も7小節目と同じく、長調のメロディの最後から短調が現れますが、その後24小節目まで長く短調のメロディが続きます。
演奏者は長調・短調どちらのフレーズを演奏しているのか意識して、明確に吹き分ける。
一概には言えないが、短調は心の内面から湧き出る感情を表現することが多い。
フレーズの対比
同じフレーズが音量違いで、登場します。(17小節目~と21小節目~/33小節目~と37小節目~)
音量だけではなく、発音・音色・ビブラートでも差を出します。
差をつけるためのヒントとして、一般的な表現方法を紹介します。
音色 | 発音 | ビブラート | |
f | 硬め・明るめ | 力強く | 速め・深め |
p | 柔らかめ・暗め | 繊細に | 遅め・浅め |
この表は、曲を表現するのためのヒントでしかなく、答えではない。
自分で抱いた曲のイメージを大切に。イメージ力を鍛えたいなら、良い音楽をたくさん聴くこと。
rall.(ラレンタンド)の演奏方法
ラレンタンドは、「rall.」という記号を見た瞬間、テンポを遅くして演奏するのが一般的です。
緩やかにテンポを遅くしていく「rit.」(リタルダンド)とは異なります。
表記通りの演奏を心がけましょう。
個別のポイント
各小節やフレーズごとの個別の注意を解説します。
7小節目
高い音へ跳躍する時に、重要なことは、低い音をしっかり演奏することでした。
詳しくはラクール2曲目で解説をしましたので、参考にしてください。
今回のように、跳躍した後の音が高音域の場合、吹き過ぎず、裏声で歌うイメージで演奏します。
裏声を使った方が美しく歌えるパターンは次の通りです。
- 跳躍した後の高い音が、シ♭より高い音
- フレーズが盛り上がっていない部分(フレーズ終わりなど)
ロングトーンのようにまっすぐ吹いてしまうと、高い音が大きくなり過ぎて、自然な歌い回しにならないので、注意しましょう。
14小節目
楽譜には書かれていませんが、3拍目をめがけてデクレッシェンドをすると、自然な歌い方になります。
フレーズが下行していくのに合わせて、自然にデクレッシェンドします。
4拍目は、pが書かれているので、更にもう1ランク小さい音からスタートします。
時には楽譜に書かれていなくとも、自然なフレーズの流れを優先する。
31小節目
高いドの音だけ、飛び出ないように注意します。
普通に吹くと、音量が大きくなりすぎたり、音色が開いて汚くなりがちです。
他のmfのフレーズの音とのバランスを考え、フレーズの中に入れます。
41・42小節目
ppですので、かなり小さな音で演奏しますが、音が貧弱にならないよう注意します。
サックスの中音域に特化した具体的な演奏方法・練習方法は、こちらの記事を参考にしてください。
>サックスの中音域(シ~ド#)~音色改善コツと2つの練習方法
ラクール全般の練習方法や次の曲に進むべきタイミングなどについては、こちらの記事で解説しています。合わせて参考にしてください。
>サックス教本・エチュード~ラクールの練習方法と得られる効果
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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