基本的には、どのサックスでも上達する方法は同じです。
しかし、バリトンサックス特有のコツや、特にバリトンサックスで習得しておくと、有利な技術も一部ありますので、それらを解説していきます。
私自身、バリトンサックスで、吹奏楽CDを十数枚レコーディングしてきた実績があります。
- バリトンサックス奏者
- バリトンサックスに持ち替えて、演奏される方
私バージェスが考える、バリトンサックス特有の演奏のコツはこちら!
他のサックスと基本は同じ演奏法だけど、バリトン特有のコツがある
アンブシュアをすごく緩く作る
ハーフタンギングを習得できると便利
普段は別のサックスを演奏しているけど、バリトンサックスに持ち替える必要がある方にとっても、参考となる内容となります。ぜひ最後までお読みください。
1.バリトンサックスのアンブシュア
バリトンサックスを演奏する場合、アンブシュアはかなり緩くします。
具体的には、唇でマウスピースを360°包み込むだけのイメージ
他のサックスでは、唇で包み込んだ後、口元の筋肉で、アンブシュアを締めているが、バリトンではそれすらしていない
顎(あご)の力は全く使わず、噛んだりはしません。
バリトンサックスを吹いていて、下唇が痛くなる場合は、噛みつき過ぎてしまっている可能性が高いです。
噛まないのは、どのサックスであっても同じだが、バリトンは特に顕著。
持ち替えたとき、上手くいかない原因の多くはアンブシュア。
他のサックスから持ち替える場合、いつもより緩めにアンブシュアをセットしてみましょう。
マウスピースだけで、演奏した場合の音程でも、噛みすぎていないかチェックできます。
私がマウスピースだけで演奏した場合、実音E♭の音が出ます。
サックスのアンブシュアの作り方については、こちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
>サックスのアンブシュアについて全て解説〜クラシック・吹奏楽奏者向け
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2.バリトンサックスの道具選び
バリトンサックスを演奏するうえで、特に準備しておいた方が良い道具を紹介します。
2-1.マウスピース
バリトンサックスの場合、他のサックスよりも広めのマウスピースを選ぶのが、一般的です。
バリトンは、息をたくさん必要とするため、開きの狭いマウスピースだと息の量に耐えられません。
一般的な開きは、アルトサックスで書かれていることが多いので、注意してください。
バリトン | バリトン以外 | |
S80 | D・E | C⭐︎ |
S90 | 190・200 | 170・180 |
最終的には、マウスピースの開きも演奏者の好みです。
しかし、プロの演奏家も含め、バリトンサックスは広めのマウスピースが好まれている事実は知っておいてください。
他のサックスのマウスピースより、広い開きのものを使うのが、バリトンでは一般的
2-2.ストラップ
正しい姿勢を維持できないと、息の通りが悪くなり、良い音を出すことができません。
バリトンサックスは特に、楽器自体の重量がかなりあるため、姿勢を維持することが難しいです。
そこで重量を分散してくれるストラップを選ぶことが重要です。オススメは「ブレステイキング」です。ソプラノ~バリトンまで、全てのサックスで使用できますが、バリトンサックスでは特にオススメです。
ブレステイキングは単体でも使えますが、より重量を分散するための付属パーツ「ラップリフト」も併用すると、より身体が楽になります。
私自身、ソプラノ~バリトンまで全てブレステイキング+ラップリフトを使用している。
割高ではあるが、楽器演奏は何より体が資本なので、楽器の重量を分散して、身体を守るのが長く演奏を続けるには大切。
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3.バリトンサックス奏者が習得しておくと、特に便利な技術
これから解説する2つの技術は、どのサックスを演奏する場合でも、必要な技術です。
しかし、バリトンサックス吹きにとっては、使用頻度が高いため、身に付けておくと差がつく技術です。
3-1.ハーフタンギング
ハーフタンギングとは、リードと舌が触れた状態で音を出す演奏法です。
舌をリードにつけ過ぎてしまうと、リードの振動が全て止まってしまうため、音が鳴りません。
そのため、極めて軽く、舌とリードが触れた状態となります。
バリトンサックスなどの低音楽器は、跳躍が多い。
特にオクターブキーをまたぐ、スラーの楽譜は、ハーフタンギングを入れたほうが、より綺麗につながって聴こえる。
一般的なクラシックの曲では、低音楽器は根音をとるので、跳躍が多くなりがちです。
一方、中音域以上の楽器は、前の音から大きな跳躍を作らないようにして、メロディの横の流れを意識して書かれていることが多いです。
これが、特にバリトンサックス奏者が、ハーフタンギングを学ぶと有効である理由です。
ハーフタンギングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
スラーを綺麗につなぐこと以外にも、メリットはたくさんありますので、ぜひお読みください。
3-2.素早いブレス
バリトンサックスは、休符がない中、きざみなどを吹き続けなければならないことが多いです。
そこで、素早くブレスをとる技術は、バリトンサックス奏者には特に求められます。
素早いブレスの取り方は、次の通りです。
- 息を吐き切る
- 脱力する
息を吐き切っていれば、吸おうとしなくても、脱力するだけで身体に空気が取り込まれます。
たくさん息を吸えるに越したことはありませんが、必要な量だけ息が吸えていればOKです。
あまりに長いこと休符がない場合は、少ない量で良いから、短く・数多くブレスをとるようにしています。
息の吸い方全般は、こちらの記事で詳しく解説しています。
>管楽器の呼吸法 第2回~息は「吐く」より「吸う」のが大事 ブレスのコツ
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4.身体の響かせ方
身体を共鳴・響かせる場所は、サックスを演奏していても、声楽と同じ場所を共鳴させるべきです。
そうすることで、音が当たりやすくなったり、響きが増したりします。
1→5の順で、徐々に高音域になります。
- 首の下側
- 首の後ろ
- 口蓋垂(こうがいすい・のどちんこのこと)
- 頭のてっぺん
- 眉間(みけん)
バリトンサックスの低音は、①や②の箇所を響かせるように意識しないと上手く当たりません。
また、最高音付近は、バリトンの場合、当たりにくい設計となっているので、④頭のてっぺんから音が鳴るイメージを持って演奏しましょう。
特に他のサックスから、バリトンに持ち替える場合、身体が響く・共鳴する箇所が違うということを意識する。
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5.低音楽器全般の注意事項
バリトンサックスで、吹奏楽やカルテットに参加する場合、次の2点に注意すると、演奏効果が劇的に上がります。
- どのパートよりも速く音を立ち上げる
- 音程を低めにとる
低音楽器のルールは、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひお読みください。
>バリトンサックス・低音楽器の演奏のコツ~吹奏楽指導者も必見
(番外編)バリトンサックスのソロ曲
バリトンサックスは、メロディを演奏することが少なく、どうしてもフレーズの歌い方などをおろそかにしがちです。積極的にソロの曲も演奏していくことで、より早い上達が見込めます。
バリトンサックスのソロ曲をこちらの記事で紹介しています。
「ソロコンテスト」という切り口で紹介していますが、コンテストに出場しない方にとっても、勉強になります。ぜひ積極的にチャレンジしてみてください!
まとめ
バリトンサックス上達のために、特に意識すべき点は次の通りです。
- アンブシュアはかなり緩く作る
- バリトンのマウスピースは、開きが広いのが一般的
- ハーフタンギング・呼吸法を特に重視する
- 他のパートより速く出る・音程は低めにとる
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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