将来的に演奏したい、難易度の高い憧れの曲、ありますよね?
そのような曲は「ゆっくりから練習する」だけではなかなかうまくいきません。
今回は、サックスで難易度の高い曲を演奏していくための取り組み方、練習方法についてまとめました。
私、バージェスが考える、難易度の高い曲を攻略するためにすべきことはこちら!
技術的に難しいのか、譜読みが難しいのかを把握する
技術的の向上は、「脱力」「フォーム」「奏法の統一」を意識
譜読み力の向上は、裏拍と調性を覚える
私自身、ミスが許されないレコーディングの現場においても、相当難しいパッセージを演奏した経験が何度もあります。
高校から音楽を始めた私であっても、これから解説する方法・考え方を使って、それらのタフな本番を乗り切ってきました。
この記事の内容を実践し、練習していけば、皆さんも必ず速いパッセージを魅力的に演奏することができるようになります。
1.技術的な難しさと譜読みの難しさ
一言で「難しい」と言っても、大きく分けると、難しさの理由は2つのパターン(もしくはこの両方)に分類されます。
- 技術的に難しい
- 譜読みが難しい
パターンによって、とるべき対策が変わってくるので、まずは何が難しいのかをしっかり考えることが大切です。
- 指を回すのがそもそも難しい(動かす指の数が多い、など)
- 大きな跳躍がある
- 演奏しにくい音域で書かれている(フラジオ含む)
- 音数が多い・音の並びが不規則など、楽譜を読むのに頭が追い付かない
- リズムがわからない
難しい理由によって、とるべき対策が違う。
「ただ難しい」ではなく、難しい理由を探すのが第1歩
これから技術的に難しい箇所・譜読みが難しい箇所について、それぞれ克服するための方法を解説していきます。
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2.技術的に難しい箇所の対処法〜演奏法・身体の使い方
技術的に難しいパッセージを演奏するためには、演奏法や身体の使い方を、抜本的に見直す必要があります。
2-1.脱力
楽器を演奏することで、最も大切なことは、「できる限り脱力した状態」で演奏することです。
身体の力が抜けると、より自由に動くことができ、速い動きをすることが容易になる。
しかし難しいパッセージほど、力が入りがちで、脱力が難しいです。
強制的に脱力する方法として、足元に力を入れる方法があります。
全身に力を入れるのは簡単ですが、足元に先に力を入れると、楽器演奏で大きなウエイトを占める、肩や肘などに力が入りにくくなります。
詳しいやり方は、こちらの記事にまとめていますので、興味のある方は参考にしてみてください。
>【即効性アリ!】すぐに実践、簡単にできる演奏会での3つの緊張対策
また、脱力は難しいパッセージを演奏する以外にも、様々なメリットがあります。
詳しくはこちらの記事にまとめていますので、是非お読みください。
>【脱力】楽器演奏・サックスが上達するために、見落としがちな1番大切なこと
サックスを吹く全ての技術は、脱力してないと上手くいかない。
2-2.フォーム
指を速く動かすには、正しいフォームで演奏する必要があります。
キーを押す動き・キーを離す動き
サックスを演奏するときの指の動かし方は、2通りあります。
- キーを「押す」動き
- キーを「離す」動き
この2つの動きをする上での注意点は次の通りです。
- キーを「押す」ときは、力んで押さえすぎないように
- キーを「離す」ときは、脱力すればバネの力で勝手に戻る
キーを動かすときも脱力が重要です。左手親指は力が入っても気付きにくいので、注意しましょう。
最低限の力で、キーを押す・離すという動きを1つ1つ、「テキパキ」と行うイメージ。
これはゆっくりの曲でも同じ。
手首を外転状態にしない
演奏するときに、左手首の角度に注意してください。
手首には「内転」「外転」と呼ばれる動かし方があります。
手首が「外転」してしまうと、指が動かしにくい。
左手は、高音のパームキーがあるので、手の大きさやパームキーの角度によっては、外転してしまっている可能性があります。
そうなると左手の指回しが遅くなるので、注意してください。
2-3.全音域で良い音がする奏法を探す
音域によって、吹きやすい奏法は変わりますが、どの音域でも良い音がする奏法が必要です。
プロや上級者は、速いテンポの中で奏でられる短い音であっても、全ての音が良い音色で響かせます。
短い音ごとに、アンブシュアなどの奏法を変えることは、ほぼ不可能です。
どんな音域であっても1通りの吹き方で、良い音が鳴る状態を作れることが大切。
下記の譜例を参考にしてください。
最初の音から、半音ずつ下がる動きを複数回繰り返します。
半音ずつ下がっていき、最低音まで繰り返します。
半音ずつ上がり、自分の最高音まで繰り返す練習も同じ要領で行います。
この練習で必ず守って欲しいポイントは次の通りです。
- 半音の動きで、息の使い方・奏法を変えない。
- 半音の間で、音色・響き方が近くなるよう演奏する。
- フェルマータのついた音とその次の音も、息の使い方・奏法を変えない。
- 音色・響きなどで、上手くいかない音が出たら、一旦演奏を止める。
- 上手くいかなかった音が良い音になるように、息の使い方と奏法を変更する。
- 変更した奏法で、最初の音からやり直す。
この練習の意義やメリットは、こちらの記事で紹介していますので、詳しく知りたい方はご覧ください。
>ロングトーン応用編~サックス・吹奏楽奏者に向けた効果的な練習方法
2-4.特殊奏法
特殊奏法については、それぞれの奏法ごとに解説を行っています。参考にしてみてください。
フラジオ
ダブルタンギング
>サックスのダブルタンギング〜上手くできない理由と対処方法・コツを徹底解説
ハーフタンギング・スラップタンギング
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3.譜読みが難しい箇所の対処法〜リズムと調性を理解する
譜読みは地道にトレーニングをしていけば、確実に速くなります。
私自身が経験して、効果が高かった方法を紹介していきます。
3-1.リズムのトレーニング
譜読みが上手くできないのは、「リズムが読めていない」ケースが多いです。
裏拍の位置を覚える
具体的には、次の5つの場所を正確に覚えます。
ほとんどのリズムが、頭拍、または上記5つの裏拍のどこかの位置にいるからです。
裏拍の位置を具体的に覚えるには、音階を使った練習が効果的です。
こちらの記事に、練習方法や注意点をより詳細に解説していますので、是非参考にしてください。
>楽譜のリズムの取り方を学ぶたった1つの練習法~吹奏楽・サックス奏者のための
3-2.調を覚える
調を覚えることで、譜面を読むスピードが上がります。
次の楽譜を読んでみてください。
これはできるぞ。
ミファ#ソ#シララド#シシミレ#ミシソ#ミファ#ソ#
あまーい。#4つの長調であることがわかるので、
ミファソシララドシシミレミシソミファソ
#・♭は都度読まない!
音階を暗譜までしていると、このように読むことができます。
音階を暗譜できていると、ほとんどの音で、「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」の7通りから音を選ぶだけとなる
1つ1つの音で#・♭を考えるよりも、音符を読むスピードが圧倒的に速くなる。
3-3.1つ1つの音を確実に読む
難しい曲であっても、1つ1つの音を正確に読むことは重要です。
具体的には、次のプロセスを確実に行います。
- 譜面に書かれた音符を、1つ1つ階名(ドなど)で読む
- 読んだ階名の通りの、指づかいにする
練習を重ねると、指の動きで記憶してしまい、①の楽譜を読むプロセスを疎かにしがち
「指の動きの記憶」だけでは、ミスをしやすいです。
緊張をして、指の記憶が飛んでしまった際に、楽譜を見ることになりますが、上手くいかないケースが多いです。
指で覚えてしまうと、楽譜を見なくても演奏できてしまうことから、練習時に楽譜を読む習慣がなくなってしまったことが原因です。
一方で楽譜を読みながら演奏しても、指は覚えているので、本番で楽譜を読み飛ばしても、指が勝手に動くことはあります。
「楽譜を読む→指づかいを作る」という順番を徹底する
譜面を読むための練習(歌・演奏せずに頭で階名を歌う、など)も取り入れ、ゆっくりから譜読みする
3-4.正しい指づかいを選ぶ
指づかいは最適なものを選びます。最適な指づかいにするには、替え指の知識が不可欠です。
「替え指」という名称から、特殊な運指のように感じてしまいがちですが、その考えは誤りです。
音の並びによっては、「替え指を使う方がスタンダード」というケースも珍しくありません。
替え指には一定のルールが存在します。こちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
3-5.勢いで演奏しない
勢いまかせで演奏するのではなく、冷静な気持ちと息づかいで演奏をすることが大切です。
特にサックスは、そこまで息を吹き込み過ぎなくても、クラシック音楽の領域であれば、十分音量が出ます。
例としては、ベルビギエのエチュードです。熱量の高い曲が多く、息を吹き込んでしまいがちです。
しかしもともとフルートのエチュードなので、鳴らし過ぎず、華麗に音を並べた方が、音楽的な演奏になります。
演奏者は聴衆と違い、曲に入り込み過ぎず、必ず冷静な部分も持っておく。
演奏者側の立場から見ると、まだ息を吹き込めるため、物足りなさを感じるかもしれないが、そのくらいが丁度良い。
演奏を録音してみるとよく分かります。
曲に入り込み過ぎて、冷静な気持ちがない場合、上手くいったように感じても、録音を聴くと意外と上手くいっていないケースが多いです。
私自身が演奏するときは、「熱い気持ちで音楽表現する自分」と「ステージで客観的に演奏を評価する自分」を半々くらいをイメージしています。
3-6.譜読みをする曲数を増やす
譜読みは数をこなすほど、上達します。リズムや音の並びのパターンを記憶できるようになるからです。
新しい楽譜が配られた!
早速YouTubeで音源を探そう!
それはいかんぞ!
音源を聴くのは、自分で楽譜を読んでみてから!
音源を聴いてから演奏するということは、自ら譜面を読む機会を逸してしまう行為なので、やめましょう。
曲を耳で覚えてしまいがちな人は、大体リズムの取り方が甘い。
“なんとなく正しいリズム“にはなっていますが、ピッタリではありません。
本人は気が付かないかもしれませんが、きちんと音楽を勉強している人にとっては、リズムが取れていないように聴こえます。
「コンクールで良い賞を取りたい」という相談は多い。
審査員は、当然ながら音楽を勉強された方ばかりなので、こういった小さなところから見直してほしいです。
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まとめ
難しい曲を攻略するために、やるべき練習は次の通りです。
- 目の前の曲が、難しいという理由を考える
- 脱力を意識する
- どの音域でも良い音が鳴るような、奏法の研究
- 1つ1つの音を読んだうえで、正しい運指(替え指を含む)で演奏する
- 裏拍の場所・調性を覚える
「取り組んでる曲がいつまでたっても上達しない」など悩みがありましたら、ぜひレッスンをお申し込みください。今回紹介した内容は、あくまで一例です。レッスンでは、あなた専用の練習法や解決策をご提案いたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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