サックス奏法

【演奏の誤解を解消】サックスの高音域を出すコツ・5つを厳選し解説

  • 高音域が出ない・安定しない
  • 高音域特有の吹き方を知らない
  • 高音域の音色・音程が悪い、タンギングができない

実は、高音域が上手く出ない理由は、次のような間違った考え方にあります。

  • 高音域を演奏するときは、マウスピースを噛む
  • 上手く演奏できないのは、楽器に吹き込む息が足りてないから

なぜなら、高音域を演奏するのに、マウスピースを噛む必要も、息をたくさん入れる必要もないからです。

この記事では、サックスの高音域特有の吹き方を5つ紹介します。

私自身、今回紹介する内容を駆使して、フラジオを含め、数多くの高音域を本番で使ってきました。

この記事を読むと、高音域の正しい奏法が学べ、他の音域のように無理なく高音域を演奏することができるようになります。

結論

①息は速く、量を入れ過ぎない(=息は細くなる)

アンブシュアは、口の中を狭く・マウスピースを噛まない

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1.高音域の演奏方法

サックスの高音域の演奏方法のコツを、具体的に解説していきます。

1-1.息を入れ過ぎない

高音域を演奏するための最大のポイントは、「息を入れ過ぎない」ということです。

この点は、1番誤解されやすいポイントでもあります。

サックス吹きの女子学生

高音域が出ない、息が足りてないからだ…

もっと息を吹き込まなきゃ!

バージェス

それは逆!

高音域で息の吹き込み過ぎは良くない!

高音域を演奏するにあたっては、息を入れすぎる必要はありません。

息を入れ過ぎないようにするには、「吸気主動」という呼吸法をマスターすることが、最も効果的。

吸気主動とは、吸気(空気を吸うこと)が主動(主な動き)となる呼吸法のことです。

吸気主動での呼吸
  1. 腹式呼吸を使ってたくさん息を吸う
  2. 脱力する(息を吐こうとしない

しっかり息を吸って、肺に息をためた状態で脱力すると、勝手に息が身体の外に出ていきます。

息を吐こうとするのでなく、脱力して自然に出る息をコントロールして、楽器を演奏します。

脱力すると、必要以上に息が出てしまうので、息が出過ぎないように、お腹で支えます。

吸気主動の呼吸に関しては、こちらの記事にかなり詳細にまとめましたので、ぜひお読みください。

>管楽器の呼吸法 第1回~腹式呼吸の復習と「吸気主動」という新しい考え方

1-2.息は細く・スピードを上げる

高音域は、速い振動となるので、速い息を入れていきます。しかし前述した通り、息の量は入れ過ぎてはいけません。

つまり、入れる息は必然的に細くしておかないと、速い息ではたくさんの息が入ってしまいます。

高音域を演奏するときは、息をより細く・速く

速い息を出すコツは、アンブシュアにあります。

1-3.高音域を出しやすいアンブシュア

アンブシュアで特に注意すべきことは、次の2点です。

口の中を狭くする

前述した通り、高音域を出すには、速い息が必要になります。

速い息を出すためには、息の出口である口元が狭い必要があります。ホースの先をつまむと、水圧が高くなるのと同じ仕組みです。

息づかいの仕組み

口の中を狭くすれば、口元の出口は自然と細くなります。

同じ息の量を出すのであっても、出口が狭いとある圧力が高まる、つまり息のスピードが上がります。

口の中を狭くするヒントは、こちらの記事にまとめていますので、ぜひお読みください。

>サックスのアンブシュア ~口の中と舌の位置、タンギングの苦手を無くす

マウスピースを噛まない

マウスピースは、唇の力を使って締めることを推奨します。

楽に高音域を当てたいのなら、マウスピースを噛みつくという手段もありです。しかしそれでは、単に高音域が出ているだけです。

噛んでしまうと、音色はキツくなりがちですし、リードの振動を妨げているので、響きも遠くまで飛びません。音程もかなり高くなってしまいます。

噛むために使う顎(あご)と違って、唇の筋肉はそこまで力が加わらないので、リードの振動を妨げません。

「ウ」と発音したときのような、唇をすぼめる力を利用して、マウスピースを360°包み込む

こちらでも詳細を解説していますので、ぜひお読みください。

【マウスピースを噛んでしまうことのデメリット】

サックスのアンブシュア 〜顎(あご)の使い方・下唇の痛みからの脱却方法

【唇を使ったアンブシュアの作り方】

>サックスのアンブシュア ~口元の作り方と下唇の巻き方

1-4.頭のてっぺんを意識する

サックスの高音域は、頭のてっぺんから音が出ているイメージを持つと、上手くいきやすいです。

これは、歌・声楽家の奏法を応用したものです。演奏する音域によって、身体を共鳴させる場所が変わります。

声楽家は、高音域を出すとき、頭のてっぺんを共鳴させるように歌います。

楽器も身体の一部として、演奏するようにしてください。

声楽家から学ぶべき演奏法については、こちらの記事でより詳しくまとめていますので、ぜひお読みください。

>サックス・吹奏楽部員向け〜声楽から学ぶ音色・ピッチ改善・高音域の当て方

1-5.2つの正しいイメージを持つ

楽器を演奏する上で、イメージは非常に大切です。

「高音域=楽に出す」と考える

高音域に悩むサックス奏者

高音域、難しいんだよなぁ…

このように悩みながら吹いてしまうと、力が入ってしまい、更に高音域の演奏を難しくします。

高音域の方が息の量が必要ないので、「むしろ高音域の方が楽」と割り切ってしまう

このくらいに考えてしまうくらいで、ちょうどいいです。

音程をイメージする

高音域に限りませんが、「自分が吹く音程をイメージする」ことも大切です。

  1. ピアノなどの鍵盤楽器で、自分の出したい音程を弾いてイメージする
  2. 色々なサックス奏者の演奏を聴く

ピアノを弾いて、音程をイメージするのが一般的ですが、サックスの高音域を聴くことも、高音域を克服するヒントになります。

サックスにはサックス特有の音色感・発音などがあります。

音程だけでなく、サックスの音を丸ごとイメージしてしまった方が、上手くいく可能性があります。

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2.高音域のタンギングは舌の動きを小さく

高音域のタンギングでは、「舌を動かし過ぎない」ことが大きなポイントとなります。

前述した通り、高音域は口の中が狭い方が出しやすいですが、舌の動きが大きくなると、口の中(下の絵の赤丸部分)が広い状態になってしまいます。

アンブシュア~口の中の状態・舌の位置

口の中が広くなってしまうと、高音域を出しにくくなるので、タンギングをした後、音が外れてしまいます。

舌の位置は、リードについた後、極力リードから離さないようにする

(=なるべく舌の動きを小さくする)

タンギング全般については、こちらの記事で詳しく解説しています。

>サックスのタンギングを全解説~基礎と練習法、特殊なタンギングまで

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3.高音域の考え方〜太い音・細い音

「太い音=正しい」という考えの方が多いです。しかし私自身は、高音域に関して、その考えが正しいとは思いません。

バージェス的持論

高音域は細く・しなやかな音が基本であるべき

言葉で表現するのは難しいですが、細いといっても、弱々しく・か細いようなニュアンスではありません。

弦楽器も、高音域になるほど、弦が細くなっていき、太い音は出にくい構造となっています。

好みの問題ではありますが、「太い音=正しい」という固定概念を1度取っ払い、考えるきっかけになれば嬉しいです。

バージェス

私自身、ソプラノサックスはセルマーを選択した。他のメーカーと比較して、高音域が細く、しなやかに鳴るから。

他のメーカーは、高音域も低・中音域と同じく、太い音が鳴ってしまい、好きになれなかった…

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フラジオを含めた高音域を学びたい方へ

フラジオを含めた高音域をトレーニングしたい方には、こちらの教本がおすすめです。

【参考】ソプラノサックス・バリトンサックスの高音域は難しい

ソプラノ・バリトンの高音域は、アルト・テナーと比較して、かなり難易度が高いです。理由は次の通りです。

ソプラノサックス
  • かなり細い息やスピードが必要になるので、息のコントロールが難しい
  • 高音域すぎて、音程をイメージしにくい
バリトンサックス
  • 低音中心で楽器の設計がされているので、音が鳴るツボが著しく小さい
  • 曲での登場頻度が低いので、意識的に練習していかないと、高音域を使わない

特に、ソプラノサックスの高音域は、息を吹き込んでしまうと全く音が鳴りません。

ソプラノ・バリトン特有の演奏のコツは、こちらの記事で詳しくまとめています。

>ソプラノサックス特有の上達法・コツ・吹き方

>バリトンサックス特有の上達法・コツ・吹き方

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(応用)全ての音域の吹き方を統一する

理想は全ての音域を、同じ吹き方で演奏することです。

ここまで解説してきた内容は、あくまで「高音域を出しやすくする」ための解説でした。

初心者の場合、まずは高音を鳴らす感覚をつかむことが大切です。しかし、中〜上級者の場合、全ての音域を同じ吹き方で吹けるよう練習してみてください。

全ての音域を同じ吹き方で演奏するメリットと、具体的な練習法を下のリンクにまとめています。演奏が劇的に変わりますので、ぜひ読んでチャレンジしてみてください。

>ロングトーン応用編~サックス・吹奏楽奏者に向けた効果的な練習法

まとめ

サックスの高音域を出すコツは次の通りです。

今回の要点
  • 速く・細い息で演奏し、息の量はいらない
  • 口の中を狭くし、口元の筋肉で締める(噛まない)
  • 身体の共鳴を意識する(高音域は頭のてっぺん)
  • 「高音域は楽に出す」イメージが大切

高音域の習得は難しいですが、コツや感覚がつかめると、案外あっさり出るようになるものです。ぜひ今回の解説を活かして、練習してみてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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