サックス奏法

ソプラノサックス特有の上達法・コツ・吹き方

基本的には、どのサックスでも上達する方法は同じです。

しかし、ソプラノサックス特有のコツや、上達に有利な考え方も一部ありますので、それらを解説していきます。

この記事を読んでほしい方
  • ソプラノサックス奏者
  • ソプラノサックスに持ち替えて、演奏される方

私バージェスが考える、ソプラノサックス特有の演奏のコツはこちら!

結論

他のサックスと基本は同じ演奏法だけど、ソプラノ特有のコツがある

口の中をできるだけ狭く、口元でマウスピースをしっかり締めるアンブシュア

息の量は使わず、スピードだけ上げる

普段は別のサックスを演奏しているけど、ソプラノサックスに持ち替える必要がある方にとっても、参考となる内容となります。ぜひ最後までお読みください。

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1.ソプラノサックスのアンブシュア

ソプラノサックスのアンブシュアで、特に重視しているのは次の2点です。

  1. 口の中の容積をできるだけ狭く
  2. 口の周りの筋肉で、マウスピースを360°包み込む

ソプラノ以外のサックスであってもこの2点は意識しますが、ソプラノの場合、より重要視しています。

1-1.口の中の容積をできるだけ狭くする

口の中を狭くするための手順は、次の通りです。

ソプラノを演奏する場合、口の中をできるだけ狭くした方が有利です。

舌先を下の歯と歯茎に当て、舌の奥を持ち上げるイメージです。

アンブシュア~口の中の状態・舌の位置

手順① 「イ」の発音で口の中を作り、「ウ」の発音で口先をすぼめる

アンブシュアの教科書には、「イ」と「ウ」の中間とありますが、「イ」の発音が優先します。

ただし、顎(あご)を使って噛むことは厳禁です。

特にソプラノは「イ」の発音の優先度が強い傾向があります。理由は次の通りです。

  • ソプラノは他のサックスに比べ、口の中の狭さの重要度が高い
  • ソプラノは他のサックスに比べ、噛んだ時の影響が強い

手順② 舌先を下の前歯の歯茎に、舌の奥を持ち上げる

舌の奥を持ち上げることで、さらに口の中の容積を狭くすることができます。

口の中を狭くするヒントは、こちらの記事により詳しくまとめています。

>サックスのアンブシュア ~口の中と舌の位置、タンギングの苦手を無くす

1-2.口の周りの筋肉で、マウスピースを360°包み込む

口の周りの筋肉を使って、マウスピースを包み込みます。

他のサックスと比較して、口の周りの筋肉はかなりたくさん使います。

顎を使ってマウスピースを噛んでしまえば、高音域が出やすいですが、リードの振動を妨げるなど弊害が多いです。

口の周りの筋肉であれば、思い切りマウスピースを締めても、顎ほど大きな力は出ません。

顎さえ使わなければ、しっかり口元を締めてしまっても問題はありません。

マウスピースだけで、演奏した場合の音程でも、噛みすぎていないかチェックできます。

私がソプラノのマウスピースだけで演奏した場合、実音Hの音が出ます。

1-3.メリット・目的

これら2つを重視している理由は、「息をまとめて、細い息を出す」ためです。

口の中を狭く、口元の筋肉でマウスピースをしっかり締めると、息の出口が狭まります。

ホースを絞ると水圧が高くなるのと同じで、息の出口である口元を狭くすると、息の圧力が高まります。

息づかいの仕組み

口の中を狭く・口元をしっかり締めたアンブシュアを作ることで、速い息を楽器に送り込むことができます。

>サックスのアンブシュアについて全て解説〜クラシック・吹奏楽奏者向け

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2.ソプラノサックスの息の使い方

ソプラノサックスの息の使い方で、特に重視するのは次の2つのポイントです。

ソプラノサックスの息遣いのポイント
  1. 息の量はいらない
  2. 息のスピードは速め

2-1.息の量

ソプラノサックスの息を当てるツボはものすごく小さく、管自体も小さいため、息の量は多く必要ありません

特に高音域は、殆ど息は使いません。

管楽器の呼吸法は、「吸気主動」という考え方を推奨しています。吸気主動で演奏できれば、息を多く使い過ぎることを防げます。

吸気主動での呼吸
  1. 腹式呼吸を使ってたくさん息を吸う
  2. 脱力する(息を吐こうとしない

吸えていれば脱力するだけで(「息を吐こう」としなくても)「勝手に息が身体の外に出ていく」

吸う行為に重点を置いて、吐く行為は「吐こう」としているわけではなく、脱力しているだけなのです。

脱力すれば息が吐かれるのに、更に息を吹き込もうとしてしまうと、特にソプラノサックスの場合、必要な息の量を超えてしまいコントロールできなくなります。

また息を吹き込もうとすると、口元に力が入りアンブシュアが乱れやすくなります。

しかし、吸気主動では「息を吹き込む」という概念がないので、アンブシュアも脱力状態をキープしやすいです。

また、息を深く(横隔膜をより下げるように)吸うと、出る息の量が増えます。

吸気主動に関しては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。

>管楽器の呼吸法 第1回~腹式呼吸の復習と「吸気主動」という新しい考え方

2-2.息のスピード

ソプラノサックスの演奏は、息の量は必要ありませんが、息のスピードは必要です。

ここまでに解説してきた、次の2点を注意すれば、息のスピードは勝手に上がります。

  1. 息が細く・まとまるアンブシュアを作る
  2. 息を深く吸って、脱力する。

息のスピードだけを上げようとすると、口元に力が入り、アンブシュアが崩れてしまいがちです。

奏法全体で、息のスピードをコントロールしましょう。

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3.ソプラノサックスの音程

ソプラノサックスが難しいとされる最も大きな理由の1つが、音程のとりにくさです。

ソプラノの音程が難しい理由
  • 高音楽器は、少しの音程のズレでも気になりやすい
  • 楽器自体のコントロールが難しい

他のサックスと同様、替え指を使う手段もありますが、全般的に音程が悪くなりがちなので、根本的な解決策を考える必要があります。

3-1.対処法①:喉・声帯で音程をとる

サックスの音程の調整は、「口の中の容積で行う」と習うことが多いですが、私は「サックスの音程は、喉・声帯でとる」ことを推奨しています。

特にソプラノの場合、口の中は狭い状態でキープしておかないと、演奏に支障が出るためです。

喉・声帯を使った音程の合わせ方はシンプルで、次のように行います。

喉・声帯を使った演奏方法

自分が演奏している音と、同じ音を歌っている状態の喉・声帯の状態で演奏する。

※楽器と自分の声の音程差がある場合、オクターブ違いの音の喉の状態で可。

喉・声帯を使った音程の取り方は、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。

>サックスの音程・ピッチの合わせ方、調整方法の極意

3-2.対処法②:チューナーより少し高めに音程をとる

高音楽器は、チューナーよりも少し高めの音程をとることで、

ソプラノの場合、和音の場合を除き、少しでも音程が低くなると、かなり音程の悪さが目立つと考えてください。

逆に多少チューナーより音程が高くても、それほど気になりません。

高音楽器の音程が、チューナーより高くても良いという考え方は、こちらでより詳しく解説しています。

>サックス・吹奏楽の音程の取り方・コツ〜和音の取り方と演奏方法

バージェス

オススメは、ソプラノで他の人と合わせる機会を増やすこと。

募集してる団体は見つけにくいけど、サックスだけのラージアンサンブル団体だったら、比較的入りやすいかもしれない。

他人と合わせるとごまかせない、コントロール力が磨かれるぞ。

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4.ソプラノサックスの構え方・角度

ソプラノサックスの構え方でポイントとなるのは、構える角度です。

そしてソプラノサックスの角度を決めるヒントは、マウスピース+ネックの状態での音出しです。

ストレートでもカーブドでも、本体から外し、マウスピース+ネックの状態で音を出してみましょう。

ネックまでで演奏すると、非常にシンプルに音色や響きを感じることができます。

マウスピースだけの音出し
  • 出る音が非常にやかましく、音色の変化を検知しにくい
  • 音が鳴るツボが非常に狭いので、息の方向を変化させるのが難しい
楽器本体をつけての音出し
  • 音域によって抵抗感が変わり、息の使い方だけ意識することが難しい
  • 音程など様々な要素が気になるため、ネックだけの方がシンプル
手順
  1. 様々な角度・息の入れ方を試して、1番良い音がする角度を探す。
  2. 探し当てた角度で演奏できるよう、ストラップの長さを調節する。
バージェス

今でも私自身、スランプで納得のいく音色が出ないときは、楽器本体をつけずネックまでで奏法を確認しています。

スランプの時は、ネックまでで吹いたときに、1番良い音が鳴っていないことが多い。

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5.身体の響かせ方

身体を共鳴・響かせる場所は、サックスを演奏していても、声楽と同じ場所を共鳴させるべきです。

共鳴する場所を意識することで、音が当たりやすくなったり、響きが増したりします。

共鳴させる場所

①→⑤の順で、徐々に高音域になります。

  1. 首の下側
  2. 首の後ろ
  3. 口蓋垂(こうがいすい・のどちんこのこと)
  4. 頭のてっぺん
  5. 眉間(みけん)

ソプラノサックスは、③~⑤の箇所を響かせるように意識しないと音が上手く当たりません。

特に他のサックスから、ソプラノに持ち替える場合、身体が響く・共鳴する箇所が違うということを意識する。

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6.ソプラノサックスの低音域・高音域

ソプラノサックスで特に意識すべき奏法をそれぞれ解説してきました。

その中から低音域・高音域それぞれのポイントに特化して深堀りします。

6-1.低音域の出し方とコツ

低音域を当てるうえで、特に重要なことは「マウスピースを噛まない」ことです。

少しでも顎を使うと、低音域が裏返る(オクターブ上の音になる)ケースが多いです。

それでも難しい場合は、息のスピードを少し緩め、ベルの先をめがけて、楽器の奥まで息を入れます。

また、低音域が出しやすいセッティングを選ぶ、というのも選択肢の1つです。

低音域の出しやすいセッティングでも、高音域はコツをつかめば出せますが、高音域に特化したセッティングで低音域を出すのは難しいです。

どの音域も難しいソプラノサックスではありますが、高音楽器は基本的に、高音域を出しやすいように設計されているからです。

バージェス

低音域を吹くときだけ、アンブシュア・息のスピードを微妙に緩めるときもあります。

また私が使っているマウスピースは、セルマーのコンセプトだが、これは低音域が出しやすく、高音域が出しにくいという評価が一般的。

サックスの低音域のコツ全般は、こちらの記事でも解説しています。低音域を出す前提となる、楽器の調整の確認方法も解説しています。

>サックスの低音域のコツ〜音が裏返る・音が震える場合の対応方法

6-2.高音域の出し方とコツ

高音域を当てるうえで、特に重要なことは「息を吹き込まないこと」「速い息をキープする」ことです。

「音が鳴らない=息が足りてない」と勘違いする方がいますが、これは誤解です。

息が出ていきすぎなようお腹で支えて、息が出ていくのを我慢します。

また、身体を響かせる位置を意識することも重要です。

他のサックスの通常音域にない、高い音を演奏するので、身体を共鳴させる感覚も違います。

サックスの高音域のコツ全般は、こちらの記事で詳しく解説しています。

>【演奏の誤解を解消】サックスの高音域を出すコツ・5つを厳選し解説

ソプラノ特有の高音域を出すコツとして、ベルを身体の近い方に寄せて、角度を変えるという術もあります。

急に高い音が出てきた場合などに重宝しています。

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7.ソプラノサックスに取り組むにあたって

基本は別のサックスを吹いて、ソプラノは持ち替え、というケースも多いです。

そんな方に、世界的なジャズソプラノサックス奏者のケニーG氏が、雑誌のインタビューで語った内容を紹介します。

「ソプラノが難しいと感じるのは、単純に練習量が足りないから。みんなアルトより吹く時間が圧倒的に少ない。自分はソプラノばかり吹くからアルトは苦手。」

ソプラノサックスは、他のサックスと比較して、圧倒的に難易度が高いです。

たとえ持ち替えであったとしても、相応の練習量は必要だと考えて、取り組んでいく必要があります。

しかし、その大変さがありながらも、ソプラノサックスは魅力的な楽器なので、ぜひチャレンジしてみてください。

まとめ

ソプラノサックス上達のために、特に意識すべき点は次の通りです。

今回の要点
  • 口の中をできるだけ狭く、口元でマウスピースをしっかり締めるアンブシュア
  • 息の量は使わず、スピードだけ上げる(吸気主動のブレス)
  • 音程は喉と声帯で、少し高めを狙ってとる
  • マウスピース+ネックで、演奏しやすい角度を探す
  • 口蓋垂・頭のてっぺん・眉間を共鳴させるイメージ

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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